夏休みの作文で手が止まりやすいのは、実は本文ではなく最初の一文です。「夏休みに〇〇へ行きました」と書けても、そのあとが続かない子は少なくありません。
先に結論を言うと、夏休みの作文の書き出しは、場面・会話・音・気持ちのどれか一つから始めると書きやすくなります。きれいな言葉を探すより、思い出した瞬間を一つ置く方が自然です。
迷ったらこの順番:書く出来事を一つ選ぶ → 最初に見えたもの・聞こえた音・言われた言葉をメモする → その中から一つを一文目にします。
夏休みの作文の書き出しは何から始める?
書き出しで大切なのは、「これから何について書くか」を説明することだけではありません。読んだ人が、その場面に少し入れるようにすることです。
| 始め方 | 向く作文 | 最初の一文の例 |
|---|---|---|
| 場面から始める | 旅行、花火、プール、家での出来事 | 朝の台所は、いつもより少し静かでした。 |
| 会話から始める | 家族・友達との思い出 | 「もう一回やってみよう。」お父さんがそう言ったとき、私は少しだけやる気が戻りました。 |
| 音から始める | 花火、祭り、雨、海、虫の観察 | パン、という音がして、夜空に大きな花火が開きました。 |
| 気持ちから始める | 挑戦、失敗、できるようになったこと | 最初は、正直に言うと少しめんどうだと思っていました。 |
| 変化から始める | 成長や気づきを書きたい作文 | 夏休みの前は、私は朝の時間をあまり大切にしていませんでした。 |
もちろん、毎回かっこいい一文にする必要はありません。家庭学習で見ていると、うまく書こうとして止まる子ほど、最初から全部を説明しようとします。まずは一つの音、一つの会話、一つの景色だけで十分です。
書き出しパターン7つ
夏休みの作文では、次の7つが使いやすいです。テーマが決まっていない場合は、先に夏休みの作文テーマ50選で候補を出してから戻ってきてください。
| 書き出しパターン | 使い方 | 夏休みらしい例 |
|---|---|---|
| 1. 場面から始める | 場所・時間・空気を一文で出す。説明しすぎない。 | 夕方の公園には、せみの声だけが残っていました。 |
| 2. 会話から始める | 心に残った一言を先に出し、そのあと状況を説明する。 | 「今日は自分で決めてみな。」その一言で、私は店の中をもう一度見回しました。 |
| 3. 音から始める | 聞こえた音を入れると、読んだ人が場面に入りやすい。 | ジリジリとせみが鳴く中で、私は水やりのじょうろを持って立っていました。 |
| 4. 気持ちから始める | うれしい・くやしい・不安などを正直に書く。 | 楽しみにしていたはずなのに、出発の朝、私は少し不安でした。 |
| 5. 失敗から始める | 失敗を先に書くと、その後の工夫につなげやすい。 | カレーのにんじんは、思っていたよりずっとかたくて、なかなか切れませんでした。 |
| 6. 変化から始める | 前の自分と後の自分を比べる作文に向く。 | 夏休みが始まったころ、私は読書感想文が一番きらいな宿題でした。 |
| 7. 一文結論から始める | 高学年向け。最後にもう一度つながる内容にする。 | この夏、私が一番変わったのは、失敗したあとすぐにやめなくなったことです。 |
学年別|夏休み作文の書き出し例
低学年は短くはっきり、中学年は場面を少し詳しく、高学年は気持ちの変化まで入れると書きやすくなります。
| 学年 | 書き出し例 | 続け方 |
|---|---|---|
| 低学年 | 「つめたい。」プールに足を入れたとき、わたしは思わず声を出しました。 | そのあとに、どこで・だれと・何をしたかを短く書く。 |
| 低学年 | 朝、まどをあけると、せみの声がいっぱい聞こえました。 | 聞こえた音、見たもの、したことの順に書く。 |
| 中学年 | 花火が上がる前の広場は、人の声と屋台のにおいでいっぱいでした。 | 場面を少し詳しくしてから、一番心に残った出来事へ進む。 |
| 中学年 | 「先にやってみる?」と言われたとき、私はすぐに返事ができませんでした。 | 迷った理由、自分が選んだこと、結果を書く。 |
| 高学年 | 夏休みが始まる前、私は手伝いを続けることを、正直少し軽く考えていました。 | 最初の考えと、体験後に変わった考えを比べる。 |
| 高学年 | この夏、一番心に残っているのは、遠くへ出かけたことではなく、家の台所で失敗した朝です。 | 大きな出来事でなくても書ける理由を示し、具体的な場面へ入る。 |
夏休みの思い出を一つの作文にまとめたい場合は、夏休みの思い出作文の書き方で構成も確認できます。
「楽しかったです」から始めないコツ
「楽しかったです」は悪い言葉ではありません。ただ、最初に置くと、何がどう楽しかったのかが見えにくくなります。楽しさそのものではなく、楽しさにつながった場面を先に書きます。
| メモすること | 質問 | 書き出しへの変え方 |
|---|---|---|
| 音 | 最初に聞こえた音は? | 「ドン」「ジリジリ」「ザーザー」などを一文目に入れる。 |
| 会話 | 心に残った一言は? | かぎかっこで始める。言った人は次の文で説明する。 |
| 場所 | どんな景色・におい・暑さだった? | 説明は一つにしぼる。全部書かない。 |
| 気持ち | 始まる前はどう思っていた? | 楽しみ、不安、めんどう、くやしいを正直に書く。 |
| 変化 | 終わったあと何が変わった? | 前の自分を一文目に置くと、高学年らしくなる。 |
NGな書き出し例と直し方
書き出しが弱いときは、内容が悪いのではなく、入口が広すぎることが多いです。「夏休み全体」ではなく「その瞬間」へ近づけます。
| NGな書き出し | 弱く見える理由 | 直した例 |
|---|---|---|
| 夏休みにプールへ行きました。楽しかったです。 | どんな場面だったかが見えにくい。 | プールサイドに立つと、足のうらが熱くて、思わず水の中へ入りたくなりました。 |
| ぼくの夏休みの思い出は花火です。 | 説明としては正しいが、読み手を引き込みにくい。 | ドン、という音が少し遅れて聞こえ、胸の中までひびきました。 |
| これから夏休みの作文を書きます。 | 作文の説明になっていて、体験が始まっていない。 | 「早くしないと焦げるよ。」母の声で、私はあわててフライパンを見ました。 |
| とても楽しい夏休みでした。 | 感想が先に出すぎて、何が楽しいのか分からない。 | 雨で予定がなくなった朝、私はつまらない一日になると思っていました。 |
普通の一文を作文らしくする練習
作文の書き出しは、特別な表現を足すより、見たこと・聞いたこと・体で感じたことを一つ入れるだけで変わります。
| 普通の書き出し | 少しよくした書き出し | 直したポイント |
|---|---|---|
| 夏休みに料理をしました。 | 包丁を持つ手に力が入り、にんじんが少しだけ右へすべりました。 | 動きを入れる。 |
| 海へ行きました。 | くつをぬいで砂の上に立つと、足のうらがじんわり熱くなりました。 | 体で感じたことを入れる。 |
| 読書感想文を書きました。 | 本を開いたまま、私はしばらく一行目で止まっていました。 | 困った瞬間から始める。 |
| おじいちゃんの家へ行きました。 | 玄関を開けると、畳のにおいと、祖父の「来たか」という声がしました。 | においと会話を入れる。 |
授業や添削でよく見るつまずき
作文を見ていると、「出来事はあるのに書き出しだけが説明文になっている」ことがよくあります。たとえば、花火の作文なのに、最初が「花火大会について書きます」になっているような形です。
その場合は、説明を一度横に置いて、目を閉じたときに最初に戻ってくるものを探します。音なのか、光なのか、人の声なのか、暑さなのか。作文の入口は、そこから作る方が本人の言葉になりやすいです。
書き出しを決めたあとの続け方
一文目が決まったら、次の順番で続けます。
| 順番 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 書き出し | 「もう一回やってみよう。」母がそう言いました。 |
| 2 | 状況説明 | 私は、台所で卵焼きを作ろうとしていました。 |
| 3 | 一番心が動いた場面 | 一回目は形がくずれて、少し泣きそうになりました。 |
| 4 | 気づき・変化 | でも、失敗したあとにやり直す方が、前より覚えられると分かりました。 |
作文全体の基本を確認したい場合は、小学生の作文の書き方も参考にしてください。夏休みに限らない書き出しの型は、作文の書き出し方【小学生向け】にまとめています。
練習問題とQ&A
練習1:次の書き出しを直しましょう
元の文:夏休みに花火を見ました。きれいでした。
直し例:ドン、という音がして、夜空に大きな丸い花火が開きました。
音と見たものを先に出すと、場面が伝わりやすくなります。
練習2:会話から始めるなら、どちらがよいですか?
A「楽しかったね。」 / B「もう一回、最初からやってみる?」
答え:B。次に何が起きるのかが気になり、作文を続けやすいからです。
練習3:「楽しかったです」を使わずに始めるには?
楽しかった理由を、音・会話・動きに分けます。
例:水に入ったしゅん間、友達の笑い声がすぐ近くで聞こえました。
練習4:高学年らしく始めるには?
出来事の説明より、前の自分との違いを入れます。
例:この夏休みの前まで、私は家の仕事を「言われたらやるもの」だと思っていました。
練習5:旅行を書きたいときの書き出しは?
目的地の説明から入るより、移動中や到着直後の一場面から入ります。
例:駅のホームに立つと、いつもの町とはちがう風のにおいがしました。
Q. 書き出しは最後に直してもいいですか?
はい。最初に仮で書いて、作文を書き終えてから一番よい場面に差し替えても構いません。むしろ、最後まで書いたあとで直す方が自然な一文になることが多いです。
Q. 会話から始めるとき、誰が言ったかはどこに書きますか?
一文目は会話だけで始め、二文目で「母が言いました」「友達が笑いながら言いました」のように説明すると読みやすいです。
Q. 本当の会話を覚えていないときは?
言葉を作りすぎるのは避けます。覚えていない場合は、「母が急ぐように言いました」のように、会話ではなく説明で書けば大丈夫です。
Q. 書き出しだけ上手で、あとが続かないときは?
一文目のあとに、いつ・どこで・誰と・何をしたかを一度入れます。そのあとに、一番心が動いた場面へ進むと止まりにくくなります。
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まとめ
夏休みの作文の書き出しは、「夏休みに〇〇をしました」と説明から入らなくても構いません。場面、会話、音、気持ちのどれか一つを先に出すと、読み手に伝わる作文になりやすいです。
最初の一文で迷ったら、上手な言葉を探す前に、実際に見たもの・聞こえた音・言われた言葉をメモしてください。そこから一つ選ぶだけで、作文はかなり書き始めやすくなります。

