『枕草子』の「冬はつとめて」は、清少納言が冬の早朝に感じた美しさを、短い言葉で描いた部分です。本文は長くありませんが、古語の意味、情景の変化、最後の「わろし」の読み取りまで見ると、テストで問われるポイントがかなり詰まっています。
この記事では、中学生が定期テスト前に確認しやすいように、原文、現代語訳、語句の意味、読み取り方、練習問題を整理します。古文が苦手な生徒に説明するときは、先に「冬の朝の場面」を思い浮かべてもらうと、言葉の意味が入りやすくなります。
30秒でわかる「冬はつとめて」
- 「つとめて」は早朝の意味。
- 冬は早朝が趣深い、というのが最初の大きな内容。
- 雪・霜・寒さ・火・炭が、冬の朝らしさを作っている。
- 昼になって寒さがゆるむと、火桶の火も白い灰が多くなり、趣がなくなる。
- テストでは「つとめて」「いふべきにもあらず」「つきづきし」「わろし」がよく確認される。
枕草子「冬はつとめて」の原文
まずは、冬の部分だけをまとめて確認しましょう。教材によって仮名づかいや読点の位置が少し違うことがありますが、意味の中心は同じです。
冬はつとめて。
雪の降りたるは、いふべきにもあらず。
霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、
火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
現代語訳
一文ずつ対応させると、次のようになります。
| 原文 | 現代語訳 | 読み取りのポイント |
|---|---|---|
| 冬はつとめて。 | 冬は早朝が趣深い。 | 「つとめて」は早朝。最初の一文で、冬のよさを早朝に置いている。 |
| 雪の降りたるは、いふべきにもあらず。 | 雪が降った朝は、言うまでもなくすばらしい。 | 「いふべきにもあらず」は強い感動。雪の美しさを大きく評価している。 |
| 霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、 | 霜がとても白い朝も、またそうでなくても、とても寒い朝に、 | 雪だけではなく、霜・白さ・寒さにも冬らしさを見ている。 |
| 火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。 | 火などを急いでおこして、炭を持って通る様子も、とても冬の朝にふさわしい。 | 景色だけでなく、火・炭・人の動きまで冬の早朝らしさとして読む。 |
| 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、 | 昼になって、寒さがだんだんゆるんでいくと、 | 早朝から昼へ変わり、引きしまった雰囲気が弱くなる場面。 |
| 火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。 | 火桶の火も、白い灰が多くなって、よくない。 | 「わろし」は、冬の早朝らしい趣が消えることへの評価。 |
指導でよく見るつまずき
この部分でつまずきやすいのは、「冬は早朝がよい」と訳せても、なぜ昼になると「わろし」になるのかを説明できないところです。雪・霜・寒さ・火の勢いがそろった早朝だからこそ趣があり、昼になって寒さも火の勢いもゆるむと、清少納言の感覚では魅力が薄れる、と押さえると読み取りやすくなります。
重要語句の意味
テストでは、現代語訳だけでなく、古語の意味を直接聞かれることがあります。次の表を先に覚えておくと、本文全体の流れが見えやすくなります。
| 語句 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| つとめて | 早朝 | 現代語の「勤めて」と混同しない。 |
| いふべきにもあらず | 言うまでもない | 強い感動を表す表現として読む。 |
| いと | とても、たいそう | 古文でよく出る強調の副詞。 |
| さらでも | そうでなくても | ここでは「雪や霜がなくても」と考えるとわかりやすい。 |
| つきづきし | ふさわしい、似つかわしい | 冬の早朝らしい雰囲気に合っているという意味。 |
| ぬるくゆるびもていけば | 寒さがだんだんゆるんでいくと | 「もて」は少しずつ進む感じを添える。 |
| 火桶 | 火を入れて暖をとる道具 | 炭火を入れる器のようなもの。 |
| 灰がち | 灰が多い状態 | 火の勢いが弱くなった様子。 |
| わろし | よくない | 「悪い」という強い非難より、趣がない・好ましくないという感覚。 |
なぜ冬は「つとめて」なのか
『枕草子』の冒頭では、春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮、冬はつとめて、というように、それぞれの季節に似合う時間帯が選ばれています。冬に選ばれているのは「早朝」です。
冬の朝は、雪や霜の白さが目立ち、空気もきりっと冷えています。さらに、火をおこしたり、炭を運んだりする人の動きが加わることで、冬の朝らしい生活の場面が見えてきます。清少納言は、ただ「寒い」と言っているのではなく、寒さの中にある美しさや活気を見ています。
間違えやすい注意点
- 「冬はつとめて」を「冬は働くこと」と訳さない。
- 「わろし」を「悪人」「悪い人」のように読まない。
- 昼が嫌いという話ではなく、冬の早朝らしい趣が薄れるという読み取りにする。
- 雪だけがよいのではなく、霜や強い寒さ、火をおこす動きも含めて冬らしさを作っている。
原文と情景の対応
この文章は、景色の説明だけでなく、時間の変化も大切です。早朝のよさと、昼になってからの物足りなさを比べて読みましょう。
| 場面 | 本文に出るもの | 感じ取れる雰囲気 |
|---|---|---|
| 早朝 | 雪、白い霜、強い寒さ | 冬らしい白さ、冷たさ、引きしまった空気。 |
| 早朝 | 火をおこす、炭を持って通る | 寒さの中で人が動く生活感。冬の朝にふさわしい。 |
| 昼 | 寒さがゆるむ | 朝のきびしい寒さが弱まり、緊張感が薄れる。 |
| 昼 | 火桶の火が白い灰がちになる | 火の勢いが弱まり、早朝の趣が消える。 |
テストで問われやすいポイント
学校のテストでは、全文暗記だけでなく、語句の意味と情景の説明が問われます。次の4点を押さえておくと、記述問題にも対応しやすくなります。
解き方の手順
- 「いつ」の話かを確認する。
- 雪・霜・火・炭など、冬らしさを作るものを抜き出す。
- 早朝と昼の雰囲気の違いを比べる。
- 「わろし」が何に対する評価かを説明する。
| 問題で聞かれやすいこと | 答え方 |
|---|---|
| 「つとめて」の意味 | 早朝。 |
| 「いふべきにもあらず」の意味 | 言うまでもない。 |
| 「いとつきづきし」とある理由 | 寒い早朝に火をおこし、炭を運ぶ様子が冬の朝にふさわしいから。 |
| 「わろし」とある理由 | 昼になって寒さがゆるみ、火桶の火も白い灰が多くなって、冬の早朝らしい趣が薄れるから。 |
| 作者が冬の何に美しさを感じているか | 雪や霜の白さ、寒さの中で火をおこす生活の動き、早朝の引きしまった空気。 |
よくある誤答例
NG例
誤答: 昼になると暖かくなるので、清少納言はうれしいと思った。
直し方: 本文では、昼になって寒さがゆるむと「わろし」と評価されています。つまり、暖かくなることよりも、冬の早朝らしい雪・霜・寒さ・火の趣が薄れることに注目します。
| 誤答 | なぜ違うか | 正しくは |
|---|---|---|
| 「つとめて」は努力すること。 | ここでは古語で「早朝」の意味。 | 冬は早朝が趣深い。 |
| 雪だけが冬のよさだと言っている。 | 霜、寒さ、火、炭も出てくる。 | 冬の早朝全体の雰囲気をよいとしている。 |
| 「わろし」は火桶そのものが悪いという意味。 | 道具を非難しているのではない。 | 白い灰が多くなり、趣が薄れた様子をよくないとしている。 |
| 昼になると明るいのでよい。 | 本文では昼の場面を「わろし」とする。 | 早朝の引きしまった趣が失われると読む。 |
練習問題
答えはクリックすると開きます。先に自分で考えてから確認しましょう。
| 番号 | 問題 | 答えと解説 |
|---|---|---|
| 1 | 「つとめて」の意味を答えなさい。 | 答えを見る答え: 早朝。 |
| 2 | 「いふべきにもあらず」はどのような意味ですか。 | 答えを見る答え: 言うまでもない。 |
| 3 | 「いとつきづきし」とあるのは、何が冬の早朝にふさわしいからですか。 | 答えを見る答え: 火などを急いでおこし、炭を持って通る様子。 |
| 4 | 昼になると「わろし」とされる理由を説明しなさい。 | 答えを見る答え: 寒さがゆるみ、火桶の火も白い灰が多くなって、冬の早朝らしい趣が薄れるから。 |
| 5 | この文章で、清少納言は冬のどのようなところに趣を感じていますか。 | 答えを見る答え: 雪や霜の白さ、寒さの中で火をおこす人の動き、早朝の引きしまった空気。 |
古文助動詞も確認したい人へ
枕草子の本文を読むときは、語句だけでなく文末の助動詞にも目を向けると、過去や完了のニュアンスを取りやすくなります。 古文助動詞の覚え方では、中学生向けに意味、接続、例文、現代語訳の入れ方をまとめています。
Q&A
Q1. 「冬はつとめて」はどう訳せばよいですか?
「冬は早朝が趣深い」と訳します。「つとめて」は早朝の意味です。
Q2. 「をかし」は本文に書かれていないのですか?
「冬はつとめて」の文では、直接「をかし」とは書かれていません。ただし、春・夏・秋の流れと同じように、「冬は早朝が趣深い」という意味で読むのが自然です。
Q3. 「雪の降りたる」は「降っている」と「降り積もった」のどちらですか?
「降りたる」の表し方は、教材によって「雪が降っている」「雪が降った」「雪が降り積もっている」など少し異なります。定期テストでは、学校で使用している教科書・授業プリントの訳に合わせてください。
Q4. 「わろし」は強く悪いという意味ですか?
ここでは「よくない」「趣がない」と考えると自然です。火桶や昼そのものが悪いというより、冬の早朝らしい雰囲気が薄れたことを残念に見ています。
Q5. テスト前は何を覚えればよいですか?
まず「つとめて」「いふべきにもあらず」「つきづきし」「わろし」の意味を覚えます。次に、早朝と昼の雰囲気の違いを自分の言葉で説明できるようにしましょう。
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古文が苦手な生徒に最初に確認すること
「冬はつとめて」は短い文章ですが、語句だけを一つずつ訳すと、清少納言が見ている場面のつながりがぼやけます。授業では、先に冬の早朝の白さ、寒さ、火をおこす動きを想像してから語句に戻ると、訳の納得感が出やすいです。
| 語句 | ありがちな迷い | 確認する読み方 |
|---|---|---|
| つとめて | 努力する意味で読んでしまう | ここでは早朝を表す言葉として読む |
| いとつきづきし | ただ「とてもよい」で終わる | 冬の朝にふさわしい、という評価まで見る |
| わろし | 単純に悪い景色と考える | 冬の朝らしい趣が薄れる、と考える |
訳しすぎないための見方: 現代語訳では、すべての語を同じ重さで説明しようとしない方が自然です。特に「わろし」は、昼になると炭火の白さが目立ってしまう流れを押さえると、単なる悪口ではないことが伝わります。
よくある誤解: 「つとめて」は努力すること?
この文章では「早朝」の意味です。現代語の感覚で読まず、古文でまず確認する意味を優先します。
よくある誤解: 現代語訳は直訳だけでよい?
テストでは直訳も大切ですが、場面のつながりが見える訳の方が読み取り問題に対応しやすくなります。
本文・語句の確認に使った資料
『枕草子』には伝本や教材による仮名遣い・句読点の違いがあります。この記事では、次の公開資料で「冬はつとめて」の本文範囲と作品情報を確認しています。
- 岐阜県まるごと学園「枕草子」(教材本文)
- 国文学研究資料館「国書データベース」(『枕草子』の書誌・伝本情報)
- 国立国語研究所「日本語歴史コーパス」平安時代編(『枕草子』収録情報)
まとめ
「冬はつとめて」は、冬の早朝の美しさを短く表した文章です。雪や霜の白さ、寒さの中で火をおこす様子、炭を持って通る動きが、冬の朝にふさわしい情景として描かれています。
一方で、昼になって寒さがゆるみ、火桶の火も白い灰が多くなると、早朝の引きしまった趣が失われます。テストでは、語句の意味だけでなく、なぜ早朝がよく、なぜ昼は「わろし」なのかを説明できるようにしておきましょう。
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