国語のテストで、こんな経験はありませんか?
- 「隠喩・直喩・擬人法」などの名前は覚えているのに、いざ問題を解くと当てはまる箇所がわからない
- 「この表現の効果を答えなさい」と言われても、何を書けばいいかわからない
- 短歌・俳句の問題で、どこに着目すればいいか迷って時間を使ってしまう
これらの悩みに共通しているのは、「表現技法の名前と定義は知っているが、文章の中から見つける練習をしていない」ことです。
表現技法の問題は、名前を覚えるだけでは解けません。「どんな言葉の形をしていたら○○法か」というパターン認識と、「その技法が使われていると、読者にどんな効果をもたらすか」という効果の言葉の両方が必要です。
この記事では、中学国語で頻出の表現技法を「見つけ方のパターン」と「効果の答え方」に絞って解説します。
表現技法の問題は「3種類の問われ方」がある
まず、表現技法に関する問題がどんな形で出題されるかを整理しておきましょう。出題パターンは大きく3種類です。
- 名前を答える問題:「傍線部に使われている表現技法の名前を答えなさい」
- 箇所を探す問題:「この詩の中から擬人法が使われている部分を抜き出しなさい」
- 効果を答える問題:「傍線部の表現にはどのような効果があるか説明しなさい」
「名前を答える問題」は知識問題です。しかし得点差がつくのは「箇所を探す問題」と「効果を答える問題」です。この記事では特にこの2つに力を入れて解説します。
頻出表現技法の「見つけ方パターン」一覧
① 直喩(ちょくゆ)――「まるで〜のようだ」の形を探す
直喩は、「〜のような・〜のように・まるで〜・〜みたいな」という比較の言葉を使って、あるものを別のものにたとえる技法です。
見つけ方のポイントは、「ような・のように・みたいな」という言葉が文中にあるかどうかを確認することです。この言葉があれば、ほぼ確実に直喩です。
- 例:「彼女の声は、まるで小川のせせらぎのようにやわらかかった。」
効果を答えるときの言葉:「〜をたとえることで、読者が具体的にイメージしやすくなる効果がある」
② 隠喩(いんゆ)/暗喩――「のような」なしで直接たとえる
隠喩は、「のような」という比較の言葉を使わずに、あるものを別のものだと言い切ってたとえる技法です。
見つけ方のポイントは、「〜は〇〇だ・〜が〇〇になる」という形で、意味的におかしい文がないかを探すことです。「人間が鉄になる」「空が泣いている」など、文字通りには成立しない表現が隠喩のサインです。
- 例:「彼は戦場の鬼だった。」(人間が鬼なのはおかしい→隠喩)
- 例:「ぼくの心は砂漠になった。」(心が砂漠なのはおかしい→隠喩)
効果を答えるときの言葉:「直接言い切ることで、直喩よりも印象が強く・断定的に伝わる効果がある」
③ 擬人法――「人ではないものが人のように行動している」を探す
擬人法は、人間以外のもの(自然・動物・物など)を人間のように表現する技法です。
見つけ方のポイントは、「人間だけが行う動作・感情・セリフ」を表す言葉が、人間以外のものに使われていないかを探すことです。
- 人間だけが行う動作の例:泣く・笑う・囁く・呼ぶ・走る・手招きする・考える・怒る
- 例:「風が囁いた。」(風は囁かない→擬人法)
- 例:「太陽が笑いかける春の朝。」(太陽は笑わない→擬人法)
- 例:「波が語りかけてくる。」(波は語りかけない→擬人法)
効果を答えるときの言葉:「人間以外のものに生命・感情があるように表現することで、情景が生き生きと伝わり、読者が感情移入しやすくなる効果がある」
④ 反復法(くり返し)――同じ言葉・構造が繰り返されている箇所を探す
反復法は、同じ言葉や似た構造の表現を意図的に繰り返す技法です。
見つけ方のポイントは、同じ言葉・フレーズが2回以上出てきていないかを確認することです。詩では特に行の最初や最後に同じ言葉が繰り返されるパターンが多いです。
- 例:「呼べど答えなく、呼べど声も届かず。」
- 例:「走れ、走れ、ただ走れ。」
効果を答えるときの言葉:「同じ言葉を繰り返すことで、その言葉が持つ意味や感情が強調され、読者の印象に深く残る効果がある」
⑤ 体言止め――文や行が「名詞・体言」で終わっている箇所を探す
体言止めは、文や詩の行の末尾を名詞(体言)で終わらせる技法です。普通の文は「〜だ・〜する・〜ない」などの用言で終わりますが、体言止めはあえて名詞で止めます。
見つけ方のポイントは、行や文の最後が「名詞・代名詞」で終わっていないかを確認することです。短歌・俳句・詩の問題で特によく問われます。
- 例:「枯れ野に光る 一筋の川。」(「川」という名詞で止まっている)
- 例:「夕暮れの空に浮かぶ あの雲。」
効果を答えるときの言葉:「名詞で言い切ることで、文の流れが止まり、その言葉に余韻・余白が生まれ、読者が想像を広げやすくなる効果がある」
⑥ 倒置法――言葉の順番が自然な語順と逆になっている箇所を探す
倒置法は、通常の語順をあえて逆にする技法です。日本語の自然な語順は「主語→述語」「修飾語→被修飾語」ですが、倒置法ではこれをひっくり返します。
見つけ方のポイントは、「普通の順番に直すとおかしくない」かどうかを確認することです。逆順にして意味が変わらなければ倒置法です。
- 例:「美しかった、あの夏の海が。」(自然な語順:「あの夏の海が美しかった」)
- 例:「忘れない、君のことを。」(自然な語順:「君のことを忘れない」)
効果を答えるときの言葉:「語順を逆にすることで、先に来た言葉が強調され、読者の印象に残りやすくなる効果がある」
「効果を答える問題」で使える答えの型
表現技法の効果を答える問題は、多くの人が「なんとなく書いて部分点しかもらえない」という問題です。次の型を覚えておくと、減点されにくい答えが書けます。
- 基本の型:「〇〇法を使うことで、△△(技法の具体的な働き)という効果がある」
- 感情・強調系の型:「〜を強調することで、読者に××という印象を強く与えている」
- イメージ系の型:「〜にたとえることで、読者が□□を具体的に想像しやすくなっている」
答えを書くときに絶対に外してはいけないポイントが1つあります。それは「何が」強調・表現されているかを、本文の内容に即して書くことです。
たとえば擬人法の効果を答えるとき、「生き生きとした印象を与える効果がある」だけでは不十分です。「風を人のように表現することで、主人公を取り巻く自然が温かく寄り添っているような印象を与える効果がある」のように、本文の具体的な内容と結びつけて書くことが求められます。
短歌・俳句の問題で特に注意すべき2つのポイント
ポイント① 季語は「情景と心情をつなぐ橋」として読む
俳句には必ず季語があります。試験では「この季語からどんな情景・心情が読み取れるか」という問題がよく出ます。季語を見たら、その季節が持つ一般的なイメージ(明るさ・寂しさ・暑さ・新しさなど)と、句全体の内容を結びつけて考えましょう。
- 春の季語のイメージ → 新しい始まり・希望・やわらかさ・別れ
- 夏の季語のイメージ → 力強さ・生命感・激しさ・孤独
- 秋の季語のイメージ → 寂しさ・物悲しさ・実り・終わり
- 冬の季語のイメージ → 厳しさ・孤独・静けさ・耐える
ポイント② 句切れ・音の区切りが「感情の区切り」になる
短歌(五・七・五・七・七)や俳句(五・七・五)では、音の区切り目に「句切れ」が生まれることがあります。句切れの前後で場面や感情が切り替わることが多く、その転換点を意識するだけで内容の読み取りが深まります。
句切れのサインとなる表現はこちらです。
- 「〜けり・〜かな・〜よ・〜ぞ・〜なり」などの終止形・詠嘆の表現
- 「。」や強い区切りを感じる助詞の使い方
実践問題:表現技法を見つけて効果を答えよう
次の詩の一節を読んで、使われている表現技法の名前と効果を答えてください。
「捨てられた傘が
雨の中で
泣いている
誰も気づかない
誰も気づかない」
整理してみましょう。
- 「泣いている」 → 傘(人間ではない物)が泣くという人間の行動をしている → 擬人法
- 「誰も気づかない/誰も気づかない」 → 同じ表現が2回繰り返されている → 反復法
効果の答え方の例:
- 擬人法:「捨てられた傘を人のように表現することで、傘の孤独感・悲しさが読者に強く伝わり、感情移入しやすくなる効果がある」
- 反復法:「『誰も気づかない』を繰り返すことで、孤独・無関心というテーマが強調され、読者の印象に深く残る効果がある」
まとめ――表現技法は「見つけ方の型」と「効果の言葉」をセットで覚えよう
表現技法の問題で得点するには、名前の暗記だけでなく「見つけ方のパターン」と「効果を答える言葉」をセットで身につけることが必要です。
- 直喩:「〜のような・のように」がある → 効果:具体的にイメージしやすくなる
- 隠喩:「〜は〇〇だ」と言い切る・意味的におかしい文 → 効果:印象が強く・断定的に伝わる
- 擬人法:人間以外のものが人間の動作・感情をしている → 効果:生き生きとした印象・感情移入しやすくなる
- 反復法:同じ言葉・フレーズが繰り返されている → 効果:強調・印象に残りやすくなる
- 体言止め:行や文の末尾が名詞で終わっている → 効果:余韻・余白が生まれ想像が広がる
- 倒置法:自然な語順と逆になっている → 効果:先に来た言葉が強調される
効果を答えるときは必ず「何が」強調・表現されているかを本文の内容と結びつけて書くことを忘れずに。技法の名前だけ書いて終わりにせず、本文の内容に即した「この詩・この文章だからこそこの効果がある」という答えが、高得点につながります。
今日から詩や短歌を読むとき、「これは直喩かな・擬人法かな」と技法を探す目を持つようにしてみてください。その習慣が、表現技法問題への対応力を自然に育てていきます。
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