国語の記述問題は、思いついたことを書く問題ではありません。設問の条件を読み、本文の根拠を探し、必要な言葉を一文に整える問題です。
「何を書けばよいか分からない」「答えが短すぎる」「字数に収まらない」という小学生に向けて、理由・気持ち・内容説明・抜き出し・要約の書き方を、オリジナル例と図解でまとめます。
最初に設問の条件を分ける
本文を読み始める前に、設問の中から「何を答えるか」「字数はいくつか」「本文から抜き出すのか」を拾います。ここを曖昧にすると、本文の内容は合っていても、問いに合わない答えになりやすいからです。
| 順番 | すること | 自分への質問 |
|---|---|---|
| 1 | 設問を読む | 理由?気持ち?抜き出し? |
| 2 | 条件に線を引く | 字数・文末・指定語は? |
| 3 | 根拠を探す | 本文のどの場面・段落? |
| 4 | 部品を集める | 誰が・何を・なぜ? |
| 5 | 一文に整える | 問いに答える文末か? |
| 6 | 答案を点検する | 根拠と字数に合うか? |
「なぜ」とあれば理由、「どんな気持ち」とあれば心情と根拠、「本文中から抜き出し」とあれば本文の言葉を探します。設問の最後の言葉は、答案の形を決める目印です。
本文の根拠は一つの種類だけで決めない
| 根拠の種類 | 見つける場所 | 答案に使うとき |
|---|---|---|
| 出来事 | 設問の場面の前後 | 理由や変化のきっかけ |
| 行動・表情 | 物語文の描写 | 気持ちを説明する材料 |
| 会話 | かぎかっこの中と前後 | 考え・相手への思い |
| 接続詞 | 説明文の文頭 | 原因・反対・まとめの関係 |
| 文末表現 | 段落の最後やまとめ | 筆者の判断や主張 |
| くり返しの語 | 複数の段落・場面 | 文章の中心を判断 |
物語文なら、気持ちを表す言葉だけでなく、行動や会話、その前に起きた出来事を一緒に見ます。説明文なら、接続詞、段落の最後、くり返される語に注目します。答えを書く前に、「この答えは本文のどこから分かるか」を指せる状態にします。
答案は部品を集めてから一文にする
| 答案の部品 | 確認すること | 短い例 |
|---|---|---|
| 主語 | 誰・何についてか | 主人公は |
| 出来事 | 何が起きたか | 友達に声をかけられた |
| 考え・気持ち | どう思ったか | 安心した |
| 理由 | なぜそう思ったか | 一人で悩まなくてよいと分かったから |
| 文末 | 設問と形が合うか | 〜気持ち。 |
いきなり長い文を書こうとせず、主語、出来事、考えや気持ち、理由、文末の順に確認します。すべての部品が必要とは限りませんが、理由や気持ちの記述では「心情だけ」「出来事だけ」で終わらないようにします。
設問別の例文で比べる
次の例は、同じ本文から設問に応じて答え方を変える練習です。答案を作るときは、本文の言葉を使いながら、問いに必要な部分だけを選びます。
| 設問 | 根拠になる本文 | 答案例 |
|---|---|---|
| なぜ、ゆうたは窓を閉めたのですか。 | 風が強まり、ノートの紙がめくれた。 | ノートの紙が風でめくれたからです。 |
| さきはどんな気持ちでしたか。 | 発表前に原稿を何度も見た。 | 発表がうまくできるか心配な気持ち。 |
| 筆者が伝えたいことは何ですか。 | 身近な工夫を続けることが大切だ。 | 身近な工夫を続けることが大切だということ。 |
| 本文中から「理由を表す接続詞」を抜き出しなさい。 | そのため、空気が入れ替わる。 | そのため |
一つ目は原因を答えるので「紙がめくれた」を入れます。二つ目は心情だけでなく、発表前の行動を根拠にします。三つ目は具体例ではなく、文章全体をまとめる筆者の考えを残しています。四つ目は抜き出しなので、本文の表現を言い換えません。
字数に合わせて答案を整える
| 指定 | まず入れるもの | 削る・整える順番 |
|---|---|---|
| 20字以内 | 中心となる内容 | 重複→細かな様子 |
| 40字以内 | 中心+理由 | 重複→例の細部→言い換え |
| 80字以内 | 中心+理由+必要な補足 | 同じ内容をまとめる |
| 抜き出し | 本文の表現 | 字数・始まり・終わりを確認 |
字数調整は、最初から短く書くより、まず必要な部品を入れてから整理します。削る順番は、同じ意味の重複、細かな様子、具体例の細部です。中心となる主張や、理由を問われたときの原因まで消すと、短くても答えになりません。
よい答案と直したい答案
| 答案 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 楽しかった。 | △ | 何が楽しかったか、本文の根拠がない |
| 友達と練習し、発表できそうだと思えたから。 | ○ | 出来事と理由がつながっている |
| 筆者はリサイクルについて書いている。 | △ | 話題で止まり、主張が書けていない |
| 身近な工夫を続けることが大切だ。 | ○ | 筆者の考えを短くまとめている |
「楽しかった」のような感想だけでは、何が起きたか分かりません。本文の出来事や人物の行動を一つ入れると、根拠のある答えになります。説明文でも、話題を答えるだけでなく、筆者が何を伝えたいのかまで確認します。
学年別の練習方法
| 学年の目安 | 中心にする練習 | 声かけの例 |
|---|---|---|
| 1・2年生 | 誰が何をしたかを書く | 答えの中に誰がいる? |
| 3・4年生 | 理由や気持ちを一文にする | 本文のどの言葉を使った? |
| 5・6年生 | 条件と字数に合わせる | 中心を残して削れた? |
低学年は、誰が何をしたかを一文にする練習から始めます。中学年は、本文の言葉を使って理由や気持ちを説明します。高学年は、字数・文末・指定語など複数の条件を同時に確認します。学年が上がっても、根拠を探す順番は変わりません。
記述問題で大切なのは、きれいな文章を最初から作ることではありません。設問の条件に合わせて、本文から必要な言葉を集め、順番を整えることです。最初は表の「部品」を一つずつ埋めると、書き出しで止まりにくくなります。
答えに迷ったときは、いきなり文章にせず、本文の根拠を短い言葉でメモします。次に、設問が理由を求めているなら「原因→結果」、気持ちを求めているなら「出来事→心情」の順に並べます。最後に「からです」「気持ち」などの文末を足せば、答案の形になります。
家庭での復習では、正解・不正解だけを記録するより、「根拠は見つけられたか」「部品が一つ抜けたか」「字数調整で中心を消したか」を分けると、次に直す場所が分かります。同じ問題を何度も写すより、同じ型の短い問題を一問解く方が、読み方の確認になります。
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| 欄 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 設問 | 何を答えるか | 理由を答える |
| 根拠 | 本文のどの言葉か | 雨が強くなった |
| 部品 | 誰が・何をしたか | 主人公は窓を閉めた |
| 文末 | 問いに合う終わり方 | 〜からです |
| 字数 | 条件に合うか | 45字以内 |
※答え合わせの前に、本文の根拠を一つ指せるか確認します。
間違えやすい答案
| よくある答案 | つまずきの原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 気持ちを一語だけ書く | 理由や根拠がない | きっかけの出来事を足す |
| 本文を長く写す | 必要な部分を選べていない | 設問に関係する言葉だけ残す |
| 自分の経験で答える | 人物・筆者と自分を混同 | 本文の描写に戻る |
| 字数を先に削りすぎる | 中心まで消している | 主張・理由を残して細部を削る |
| 文末が「〜ですか」で終わる | 設問を写したまま | 答えの形に直す |
提出前の5項目チェック
| 点検するところ | 確認する質問 | 直す方法 |
|---|---|---|
| 設問 | 何を答える問題? | 問いの言葉に丸を付ける |
| 根拠 | 本文の場所を示せる? | 段落・場面を読み直す |
| 内容 | 誰が・何を・なぜがある? | 抜けた部品を補う |
| 文末 | 問いの形に合う? | 〜から・〜気持ちなどに直す |
| 字数 | 条件内で中心が残る? | 重複・細部から削る |
よくある質問
記述問題は本文をそのまま写せばよいですか。
抜き出し問題なら本文の言葉をそのまま使いますが、理由や気持ちの問題では、設問に合う一文へ整えます。本文の根拠を使いながら、主語や文末を補うことが大切です。
答えがいつも短くなります。
まず「誰が」「何を」「なぜ・どう思った」を確認します。理由や気持ちの問題なら、心情だけで終わらず、きっかけになる出来事を一つ加えます。
字数が多すぎるとき、どこを削りますか。
同じ意味の言い換え、細かな数字や様子、具体例の細部から削ります。筆者の主張、人物の気持ち、理由など、設問に直接答える部分は最後まで残します。
抜き出し問題で間違えない方法は?
字数、書き出し、書き終わり、本文中の場所を順番に確認します。自分で言い換えず、設問の条件を満たす一続きの言葉を探します。
気持ちの記述で自分の想像が入ってしまいます。
気持ちを決める前に、行動、表情、会話、出来事へ線を引きます。本文にない経験や理由を足さず、「どの描写からそう思ったか」を説明できる心情を選びます。
記述問題の復習は何をすればよいですか。
正解を写すだけでなく、設問、根拠、自分の答案に分けて比べます。足りなかった部品を一つだけ書き、同じ型の問題を短く解き直します。
記述につながる読解記事
まとめ
記述問題は、設問、根拠、答案の部品、文末、字数の順に確認します。本文から必要な言葉を集めてから一文に整えれば、「何を書けばよいか分からない」状態から抜け出しやすくなります。
- 設問の種類と条件に線を引く。
- 本文の根拠を一つ以上見つける。
- 主語・出来事・理由・気持ちを整理する。
- 設問に合う文末へ直す。
- 中心を残して字数を調整する。


