新聞作りで手が止まるのは、書くことがないからではありません。題材を決めたあとに、見出し、リード文、本文、図や写真を同時に考えようとするからです。まず「何を知らせる新聞か」を一つに絞り、事実を集めてから紙面へ並べます。
この記事では、学校や地域の身近な出来事を、一枚の新聞に仕上げる順番を紹介します。自由研究の結果を新聞にする場合も、取材した相手の話を記事にする場合も使えるように、メモの取り方と推敲の視点を分けて説明します。
先に結論:新聞は四つの順番で作る
- テーマを小さくする。「地域」ではなく「商店街の人が続けている工夫」のように問いを作ります。
- 事実を集める。見たこと、聞いたこと、調べたことを、日時・場所・出典と一緒に記録します。
- 記事に整える。見出しで中心を示し、リード文で概要、本文で理由や様子を説明します。
- 紙面を見直す。図・写真・キャプション・余白を使い、読む順番が見える配置にします。
書き始める前に、紙面の枠を決める必要はありません。先に記事の中身を作り、あとから大きな記事と小さな記事を配置します。中身が決まっていれば、紙面の飾りに文章が引っぱられません。
新聞の部品と役割を知る
| 紙面の部品 | 役割 | 読者が分かること | 書くタイミング |
|---|---|---|---|
| 題字 | 新聞全体の名前 | 何についての新聞か | テーマを決めた後 |
| 見出し | 記事の内容を短く示す | 何が起きたか | 本文の事実がそろった後 |
| リード文 | 記事のあらましを知らせる | いつ・どこで・何が | 見出しと同じ頃 |
| 本文 | 詳しい様子や理由を書く | どうして・どのように | 取材メモを整理した後 |
| 写真・図 | 内容を目で補う | 場所・変化・仕組み | 記事の内容が決まった後 |
| キャプション | 写真や図を説明する | 何が写っているか | 画像を選んだ後 |
題字は新聞全体を表し、見出しは一つの記事を表します。リード文は、記事を読むかどうかを決める読者のための入口です。本文では、リード文で省いた理由、方法、様子、聞いた言葉などを詳しく書きます。部品の役割を分けると、同じ内容を何度も書かずに済みます。
テーマは「問い」に変えて小さくする
| 広いテーマ | 小さくした問い | 見に行く場所 | 記事の中心 |
|---|---|---|---|
| 学校の植物 | 校庭の花だんはどう変わった? | 花だん・掲示板 | 変化と世話 |
| 給食 | 残食を減らすために何をしている? | 給食室・教室 | 工夫と結果 |
| 地域 | 商店街の人は何を大切にしている? | 店・掲示物 | 仕事の工夫 |
| 図書館 | 本を選びやすくする工夫は? | 図書室 | 分類・紹介 |
| 季節 | 秋を感じる学校の場所は? | 校内・校庭 | 見つけたもの |
「学校のこと」「町のこと」のような広い題材は、記事にするには範囲が大きすぎます。「何が知りたいのか」「どこまで調べるのか」を一文の問いにします。問いに答えるための観察・取材・調査だけを集めれば、情報が散らかりにくくなります。
5W1Hで取材メモを作る
| 項目 | 日本語の問い | 取材メモの例 | 記事での使い道 |
|---|---|---|---|
| When | いつ? | 9月3日、昼休み | 記事の最初 |
| Where | どこで? | 校庭の花だん | 場所の説明 |
| Who | 誰が? | 飼育委員会の児童 | 主語を明確にする |
| What | 何を? | 秋の花を植えた | 見出しの中心 |
| Why | なぜ? | 通る人に季節を感じてほしい | 理由・背景 |
| How | どのように? | 色を相談してから植えた | 本文の詳しい様子 |
5W1Hは、記事の文章をそのまま作る型ではなく、情報の抜けを見つける表です。「誰が」「何を」は書けても、「なぜ」「どのように」が抜けると、出来事の説明で終わります。逆に、必要のない項目まで集めると、記事の中心がぼやけます。
インタビューでは「理由」と「変化」を聞く
| 質問の種類 | 質問例 | 聞けること | メモの注意 |
|---|---|---|---|
| 事実 | いつ始めましたか? | 日時・回数・人数 | 数字をそのまま記録 |
| 理由 | なぜ始めたのですか? | きっかけ・目的 | 話した人を記録 |
| 工夫 | どんな点を工夫しましたか? | 方法・考え方 | 具体的な言葉を残す |
| 変化 | 始めて何が変わりましたか? | 前後の違い | 感想と事実を分ける |
| これから | 今後どうしたいですか? | 予定・願い | 決定事項と区別する |
質問を一つしたら、答えの中から気になった言葉を拾って、もう一度聞きます。「工夫した」と言われたら「どの部分を工夫しましたか」、「よくなった」と言われたら「何がどのように変わりましたか」と具体化します。聞き手の予想を答えとして書かないことが大切です。
事実と感想を分けて書く
新聞は、書き手の感想を入れてはいけないものではありません。ただし、読者が「これは調べて分かったこと」「これは書き手の考え」と見分けられるようにします。「9月3日に花を植えた」は事実、「色がきれいで、もっと見たくなった」は自分の感想です。
資料やインタビューの内容を使うときは、発言者や資料名をメモしておきます。数字、日付、人数は記憶で補わず、元のメモに戻って確認します。記事の信頼感は、難しい言葉よりも、事実の根拠をたどれることから生まれます。
見出しは「内容が見える短い言葉」にする
| 見出しの型 | 型の説明 | 例 | 向いている記事 |
|---|---|---|---|
| 出来事+場所 | 何がどこで起きたか | 校庭に秋の花だん | 学校ニュース |
| 工夫+目的 | 何のためにどうしたか | 本を選ぶ棚を工夫 | 図書室の紹介 |
| 数字+変化 | 数値で変化を示す | 朝の水やりを一週間 | 調査・記録 |
| 問いかけ | 読者の関心を引く | なぜここにベンチ? | 施設の秘密 |
| 呼びかけ | 特集のテーマを示す | 町の音を聞いてみよう | 地域・体験記事 |
見出しを決めるときは、本文の中で一番大切な名詞と動詞を一つずつ拾います。「学校の活動」より「校庭に秋の花だん」の方が、何が起きたかを想像できます。問いかけの見出しを使う場合も、本文にその答えがあることを確認します。
リード文は最初の二文で概要を知らせる
| リード文に入れるもの | 役割 | 短い例 | 省いてもよいもの |
|---|---|---|---|
| いつ | 時期・日付を示す | 9月3日 | 細かい時刻 |
| どこで | 場所を示す | 校庭の花だんで | 住所の全て |
| 何が | 出来事を知らせる | 秋の花を植えました | 詳しい感想 |
| 誰が | 主な人・組織を示す | 飼育委員会が | 記事に不要な名前 |
| 目的・背景 | なぜしたかを補う | 季節を感じてもらうため | 後で詳しく書く説明 |
リード文は、本文の前に置く短い案内です。最初の一文で出来事を知らせ、二文目で目的や背景を補います。感想から始めると記事の内容が分かりにくくなるため、まず事実を置きます。詳しい感想や引用は本文へ回します。
本文は「出来事→様子→理由→考え」で広げる
| 段落 | 書く内容 | 自分への質問 | 事実・感想 |
|---|---|---|---|
| 1 | 出来事のあらまし | 何が起きた? | 事実 |
| 2 | 様子や方法 | どんな順番で? | 事実+引用 |
| 3 | 理由や背景 | なぜ始めた? | 聞いた事実 |
| 4 | 自分の考え | 読んで何を思った? | 感想 |
| 5 | これから | 今後どうなる? | 予定・考え |
本文は、取材メモを時系列に並べるだけでなく、読者が知りたい順に整えます。リード文で知らせた出来事を受け、どのように行われたか、なぜ行われたか、そこから何を考えたかへ進みます。段落ごとに役割を一つにすると、説明が重なりません。
新聞らしい本文にする三つの問い
- 読者が最初に知りたい出来事は何か。
- その出来事を確かめる具体的な数字・発言・様子は何か。
- 記事を読んだあと、どんなことを考えられるか。
「楽しかった」「すごい」で終わると、感想文に近くなります。なぜそう思ったのか、どの場面でそう感じたのかを一つ添えると、新聞の中の自分の考えとして読めます。ただし、感想を増やしすぎて出来事が隠れないよう、事実の説明を先に置きます。
記事の一文は、できるだけ一つの情報を伝える形にします。長い文を二つに分けるだけで、見出しやリード文との役割も見えやすくなります。読者が途中で戻らずに読めるか、声に出して確かめます。
取材した内容を全部載せる必要はありません。問いに答える事実を残し、同じ意味のメモは一つにまとめます。
残した事実が記事の中心を支えているか、見出しと照らし合わせて確認します。
見出しが大きくても、本文に根拠がなければ読者は内容を確かめられません。見出しに使った名詞や数字が、取材メモのどこにあるかを指で示します。根拠が見つからない言葉は、削るか、もう一度調べてから使います。
小さな確認を積み重ねると、記事全体が読みやすくなります。
最後まで根拠を残しておきます。取材メモは清書後も保存します。
聞いた言葉・数字・専門語を正しく扱う
| 聞いた言葉の扱い | よい書き方 | 避けたい書き方 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 短い発言 | 「〜」と話しました | 話した人を不明にする | 誰の発言か |
| 長い説明 | 要点を自分の文でまとめる | 一言ずつ全部写す | 意味が変わっていないか |
| 数字 | 聞いた数字を記録する | 記憶だけで丸める | 単位・日付 |
| 専門語 | 意味を聞いて説明を添える | 分からないまま使う | 読者に通じるか |
| 感想 | 発言者の感想と自分の感想を分ける | 自分の考えを発言にする | 主語を確認 |
インタビューの言葉は、短く引用するか、要点を自分の文でまとめます。引用した部分と自分の説明が分かるように、かぎかっこや「〜と話しました」を使います。意味が分からない専門語は、聞き返すか、読者向けに簡単な説明を添えます。
図・写真・キャプションで内容を補う
| キャプションに入れること | 例 | よくある不足 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 何が写っているか | 花だんに苗を植える様子 | 「写真」だけ | 動作を入れる |
| いつ・どこか | 9月3日、校庭で | 場所が不明 | 本文と同じ事実を確認 |
| 記事との関係 | 秋の花を選ぶ相談中 | 説明が本文と別 | 見出しと結びつける |
| 撮影者・出典 | 自分で撮影/資料名 | 出典がない | 課題の指示に合わせる |
図や写真は、本文の代わりではなく、本文だけでは伝わりにくい情報を補うために使います。変化を比べるなら図、場所や様子を見せるなら写真、手順を説明するなら簡単な模式図が向いています。画像を置いたら、下にキャプションを付けて記事との関係を示します。
レイアウトは読み始める場所を作る
| 場所 | 置くもの | 大きさの目安 | 配置のコツ |
|---|---|---|---|
| 上部 | 題字・大見出し | 一番大きく | 紙面のテーマを見せる |
| 左上または中央 | 主な記事 | 一番広く | 最初に読む場所を作る |
| 記事の近く | 写真・図 | 内容に合わせる | 本文と離しすぎない |
| 空いた場所 | 小記事・豆知識 | 主記事より小さく | 情報を詰め込みすぎない |
| 全体 | 余白・線・色 | 読みやすさ優先 | 飾りで文章を隠さない |
紙面を先に飾りで埋めると、記事の文字が小さくなったり、見出しと本文の区別がつかなくなったりします。まず主な記事を広く置き、次に図や写真、その後に小記事を配置します。記事と記事の間に余白を残すと、読者が目を休めながら読めます。
仕上げは七つの視点で確認する
| チェック | 質問 | OKの状態 | 直すとき |
|---|---|---|---|
| テーマ | 記事の中心は一つ? | 一文で説明できる | 話題を分ける |
| 事実 | 根拠はどこ? | 見た・聞いた・調べたが分かる | 出典を足す |
| 見出し | 内容が想像できる? | 短く具体的 | 抽象語を減らす |
| リード | 最初に概要が分かる? | いつ・どこで・何が入る | 順番を替える |
| 本文 | 詳しい説明がある? | 理由・様子がある | メモを追加 |
| 感想 | 事実と混ざっていない? | 「私は」で分かれる | 主語を補う |
| 紙面 | 読む順が見える? | 見出し・余白がある | 配置を離す |
| 出典 | 資料名・日付がある? | 後から確認できる | 欄外に記録 |
誤字だけを直して終わりにしないことがポイントです。見出しから本文の内容が予想できるか、リード文だけで出来事が分かるか、写真の説明が足りるかを、新聞を知らない人の目で確認します。事実の数字と日付は、元のメモへ戻って再確認します。
読み手が迷った場所には、線や色を足す前に文章の順番を直します。飾りは情報を助けるためのものです。
数日で完成させる作業予定
| 日 | 作業 | 終わりの目印 | 残すもの |
|---|---|---|---|
| 1日目 | テーマと問いを決める | 問いが一文になる | テーマメモ |
| 2日目 | 観察・取材・調査 | 事実が五つ集まる | 取材メモ・出典 |
| 3日目 | 見出し・リード・本文 | 記事が読める | 下書き |
| 4日目 | 図・写真・紙面 | 配置が決まる | レイアウト案 |
| 5日目 | 音読・事実確認・清書 | 他の人に伝わる | 完成紙面 |
取材と清書を同じ日に詰め込むと、聞き漏らしや書き間違いに気づきにくくなります。できれば一晩置いて、翌日に音読します。自分が分かっていることを省きすぎていないか、初めて読む人にも伝わるかを見直します。
調べ学習の結果を新聞にする場合は、自由研究のまとめ方の記事で、調査の記録を整理する方法も参考になります。新聞では、その記録を読者に知らせる記事の形へ変えていきます。
無料チェック表と家庭学習用の教材
PRこの欄にはAmazonアソシエイトリンクを含みます。先に本文の手順と無料チェック表を使い、必要な場合だけ家庭に合う教材を選んでください。
無料チェック表:新聞を仕上げる8項目
- テーマと問いが一つになっている?
- 見た・聞いた・調べた事実がある?
- 見出しで記事の内容が分かる?
- リード文に出来事の概要がある?
- 本文に理由や様子がある?
- 事実と自分の感想を分けた?
- 図・写真にキャプションがある?
- 余白があり、読む順番が見える?
ノートにこの8項目を書いて、できたら丸、直すところは一つだけメモします。全部を一度に直すより、順番を決めて見直せます。
よくある質問
小学生の新聞は何を書けばよいですか。
自分が見たこと、聞いたこと、調べたことを、読者に知らせる記事です。学校や地域の出来事、身近な仕事、季節の変化、調べて分かったことなどを選べます。大切なのはテーマの大きさではなく、「何を知らせたいか」を一つにすることです。
新聞の見出しと題名は同じですか。
題名は新聞全体の名前、見出しは一つの記事の名前です。題名が「わたしたちの町新聞」なら、見出しは「商店街に新しいベンチ」のようになります。題名を決めた後、記事ごとに見出しを付けます。
リード文とは何ですか。
記事の冒頭で、出来事のあらましを知らせる文です。新聞では本文を読む前に、いつ・どこで・何が起きたかが分かると読みやすくなります。詳しい理由や感想は、その後の本文へ回します。
5W1Hは全部入れなければなりませんか。
5W1Hは取材内容を整理する道具です。すべてが同じ重要度とは限らず、記事に必要な項目を選びます。学校の出来事なら「いつ・どこで・誰が・何を」が中心になり、調べ学習なら「なぜ・どのように」が重要になることもあります。
取材では何を質問すればよいですか。
「いつ」「なぜ」「どんな工夫」「何が変わった」の順に質問すると、記事の材料が集まりやすくなります。答えを急いで自分の言葉に直さず、相手の言葉を短くメモします。聞いた相手、日付、場所も一緒に残します。
事実と感想は分けた方がよいですか。
分けると、読者が何を根拠にした記事か分かりやすくなります。「9月3日に花を植えた」は事実、「色の組み合わせがきれいだと思った」は自分の感想です。感想を書くことは問題ありませんが、主語を補い、同じ文に混ぜすぎないようにします。
見出しが思いつきません。
本文から「何が」「どこで」「どんな変化」を表す言葉を三つ拾います。次に「出来事+場所」「工夫+目的」「数字+変化」のどれかへ当てはめます。最初から面白さだけを狙わず、記事の中身が想像できる見出しを先に作ります。
新聞の紙面はどのように配置しますか。
上に題字や大見出し、中央や左上に主な記事、その近くに図や写真、小さな記事を空いた場所へ置くと、読む順番が作りやすくなります。文字を詰めるより、記事と記事の間に余白を残してください。清書前に鉛筆で枠を描くと直しやすくなります。
写真やイラストには説明が必要ですか。
必要です。写真や図の下に、何が写っているか、いつ・どこか、記事とどう関係するかを短く書きます。この説明をキャプションといいます。自分で撮影したか、資料から使ったかも、課題の決まりに合わせて記録します。
インタビューの言葉をそのまま載せてもよいですか。
短い発言なら引用として使えますが、誰が話したかを示します。長い話は要点をまとめ、意味を変えないようにします。数字や固有名詞は聞き間違いがないか確認し、分からない部分を想像で埋めません。
調べ学習の新聞で気をつけることは何ですか。
資料名、見た日、調べたページや発行元をメモします。複数の資料で数字や説明が違うときは、どちらを使ったか、なぜ選んだかを確認します。自分の感想と資料の説明を同じ色で書かないようにすると、整理しやすくなります。
新聞を読みやすくする最後の確認は?
完成した紙面を、作った本人ではない人に読んでもらいます。見出しだけで内容を予想できるか、最初に読む場所が分かるか、図や写真の説明が足りるかを聞きます。誤字だけでなく、記事の順番と余白も確認してから清書します。
まとめ:新聞は「伝える順番」を作る学習
小学生の新聞は、文章をたくさん書けば完成するものではありません。テーマを問いに変え、事実を集め、見出しで中心を示し、リード文で概要、本文で詳しい様子を伝えます。最後に図・写真・余白を配置し、事実と感想を分けて見直します。
- テーマは、答えを探せる大きさまで小さくする。
- 5W1Hで取材メモの抜けを確認する。
- 見出し、リード文、本文の役割を分ける。
- 聞いたことや数字は、出典・日付と一緒に残す。
- 紙面は飾りより、読む順番と余白を優先する。
新聞作りの参考として、Yahoo!きっずの「新聞を作る」学習資料や、自治体の壁新聞制作ガイドも確認できます。課題の用紙や記事数に指定がある場合は、学校の条件を優先してください。

