インタビューの宿題で「何を聞けばいいか分からない」となるのは、質問をいきなり作ろうとするからです。先に「何を知りたいか」を一文で決め、相手について少し調べます。すると、調べても分からないことと、実際に聞きたいことが見えてきます。
インタビューは、質問をして答えを集めるだけの活動ではありません。相手の言葉を待ち、必要なら聞き返し、事実と自分の考えを分け、読み手に伝わる形へ整理します。この記事では、家族への聞き取りから地域の人への取材まで使える順番を、準備からまとめまで解説します。
インタビューは4段階で進める
| 段階 | すること | できたかの目安 | 残すもの |
|---|---|---|---|
| 目的 | 何を知りたいか決める | 一文で言える | 調べる問い |
| 下調べ | 本や公式資料を見る | 知っていることと疑問が分かれる | 質問の候補 |
| 依頼 | 相手・日時・方法を相談 | 相手が内容を理解している | 約束のメモ |
| 質問 | 順番に聞き、答えを待つ | 相手の言葉が増える | キーワード |
| 整理 | 事実と感想を分ける | 情報の出所が分かる | 記録表 |
| 発信 | 記事・新聞・発表にする | 伝えたいことが一つある | 原稿・図・引用 |
最初に決めるのは、相手ではなく目的です。「仕事について聞く」だけでは広いため、「一日の中でどんな工夫をしているかを知る」のように、知りたいことを一文にします。目的が決まれば、質問の数を増やさずに、必要な情報へ近づけます。
相手に依頼するときは、誰が、何のために、どのくらいの時間で聞くのかを伝えます。日時や場所、メモ・録音・写真の有無、完成したものを見せるかも先に相談します。家の人や先生に連絡を手伝ってもらって構いません。
目的から質問を作る
| 目的のタイプ | 知りたいこと | 質問の例 | まとめ方 |
|---|---|---|---|
| 仕事を知る | 仕事の内容・工夫 | 一日の中で大切な仕事は? | 仕事の流れ |
| 技術を知る | 練習・道具・失敗 | 上達するために何をした? | 工夫と具体例 |
| 地域を知る | 昔と今・変化 | 以前と変わった所は? | 変化の比較 |
| 人の思いを知る | 始めた理由・続ける理由 | なぜ続けている? | 理由とエピソード |
| 課題を調べる | 事実・立場・解決策 | 困っていることは? | 複数の視点 |
| 質問の段階 | 役割 | 使える形 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 基本情報 | 話題の土台を作る | いつから始めましたか? | 調べれば分かることを減らす |
| 具体例 | 場面を詳しくする | 例えばどんなことですか? | 答えを急がない |
| 理由 | 思いや工夫を知る | なぜそうしたのですか? | 責める聞き方にしない |
| 比較 | 違いや変化を見る | 昔と今で違う所は? | 前提を確認する |
| 未来 | これからを聞く | 今後やってみたいことは? | 答えたくない時は無理に聞かない |
質問は、基本情報、具体例、理由、比較、未来の順に並べると作りやすくなります。すべての段階を使う必要はありません。目的に関係するものを三〜六問選び、相手が答えた内容に合わせて聞き返す余白を残します。
下調べで分かる情報をそのまま質問にすると、短い答えで終わることがあります。店の営業時間や職業名など、資料で確認できることは先に調べ、「その仕事で特に工夫していること」のように、相手だからこそ答えられる質問を作ります。
答えが広がる質問へ言い換える
| 質問 | 答えの広がり | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 仕事は楽しいですか? | はい・いいえで終わる | どんな時に楽しいと感じますか? |
| 毎日忙しいですか? | 忙しさだけで終わる | 一日のどの時間が忙しいですか? |
| 大変ですか? | 相手が答えにくい | 難しいと感じた場面はありますか? |
| 人気がありますか? | 基準が曖昧 | どんな人が、何を理由に選びますか? |
| 昔から変わりませんか? | 前提が決めつけになる | 以前と今で変わった所はありますか? |
「はい・いいえ」で終わる質問がすべて悪いわけではありません。事実を確認する場面では便利です。ただ、相手の経験や考えを知りたいなら、「どんな時」「例えば」「どうして」「以前と比べて」の言葉を足します。質問を長くしすぎず、一度に一つだけ聞くのがコツです。
聞き返しで具体的な話を引き出す
| 相手の答え | 聞き返し | 分かること | メモする語 |
|---|---|---|---|
| 道具を工夫した | どこを工夫しましたか? | 具体的な方法 | 道具・方法 |
| 失敗もあった | その時どうしましたか? | 対応の仕方 | 出来事・行動 |
| うれしかった | 何がうれしかったですか? | 気持ちの理由 | きっかけ・言葉 |
| 昔は違った | いつ頃、どう違いましたか? | 変化の内容 | 昔・今 |
| 分からない | 答えられる範囲で教えてください | 話せる範囲の情報 | 保留・別の質問 |
相手の答えを聞いて「もっと詳しく」と思ったら、すぐに次の用意した質問へ進みません。答えの中から気になった言葉を一つ繰り返し、「その工夫はどこで役立ちますか」「その時はどうしましたか」と聞きます。聞き返しは、相手の答えを否定するものではなく、読み手に伝えるための具体例をお願いする言葉です。
答えにくそうな様子があれば、質問を変えるか、答えなくてもよいと伝えます。インタビューは相手の協力で成り立つため、予定していた情報を全部集めることより、安心して話せることを優先します。
準備シートを作る
| 準備シートの欄 | 書く内容 | 例 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 相手 | 名前・立場・関係 | 近所のパン屋さん | 呼び方を確認 |
| 目的 | 何を知りたいか | 人気のパンの秘密 | 一文にする |
| 下調べ | 知っている情報 | 店の開店時間 | 質問にしない情報を分ける |
| 質問 | 聞きたいこと | 三〜六問 | 順番を並べる |
| 方法 | 日時・場所・記録 | 土曜の午前・メモ | 録音や写真の許可 |
| お礼 | 終わりの言葉 | ありがとうございました | 後日見せるか伝える |
準備シートには、質問だけでなく、日時、場所、記録方法、お礼の言葉も書きます。質問は紙を見ながら読んで構いません。最初のあいさつ、目的の説明、最後のお礼を練習しておくと、始めと終わりで慌てにくくなります。
録音や写真を使う場合は、使う目的と範囲を具体的に伝えます。「録音してもいい?」だけでなく、「聞き漏らさないために録音し、学校の提出物だけで使います」のように説明します。後で公開先が変わる場合は、もう一度確認します。
メモは全部の言葉ではなく、後で戻れる形に
| メモの取り方 | 残すもの | コツ | 後で使う場面 |
|---|---|---|---|
| キーワード | 名詞・動詞・数字 | 一語を短く書く | 記事の見出し |
| 引用候補 | 印象に残る言葉 | かぎかっこで囲む | 本文の引用 |
| 事実 | 日時・場所・手順 | 自分の感想と分ける | 説明段落 |
| 追加質問 | その場で浮かんだ疑問 | 星印を付ける | 聞き返し |
| 自分の気づき | 聞いて考えたこと | 答えと混ぜない | まとめ・感想 |
聞きながら文章を全部書こうとすると、相手の表情や話の流れを見落とします。まずキーワード、数字、印象に残った表現を短く書きます。質問番号を付け、答えの途中に追加質問が出たら星印を付けると、後で順番を整理できます。
聞き終わった直後に、記憶が新しいうちにメモを補います。事実と自分の感想を別の色や記号で分けると、まとめるときに混ざりません。相手の言葉を引用する場合は、意味を変えずに書けているか、必要なら本人に確認します。
聞いた内容を記事・新聞・発表にまとめる
| まとめの部分 | 書く内容 | 注意点 | 例 |
|---|---|---|---|
| 題名 | 何を明らかにする記事か | 広すぎない題名にする | パン屋さんの工夫 |
| 導入 | 相手と目的 | なぜ聞いたかを書く | 地域の店を調べた |
| 質問と答え | 重要な答えと具体例 | 全部をそのまま載せない | 見出しで整理 |
| 引用 | 相手の言葉 | 意味を変えない | 短く正確に引用 |
| 考え | 聞いて分かったこと | 事実と自分の考えを分ける | 自分の気づき |
| お礼・出典 | 協力への感謝・資料 | 誰に聞いたかを確認 | 協力者・参照資料 |
まとめるときは、聞いたことを順番に全部並べるのではなく、目的に関係する答えを選びます。導入で誰に何を聞いたか、本文で重要な答えと具体例、最後に自分が分かったことを書くと、読み手が調査の流れを追えます。
相手の言葉と自分の考えは、見た目でも分けます。相手の言葉を引用するときは、言葉を変えすぎず、誰の発言かを示します。自分の考えは「聞いて分かったこと」「もっと調べたいこと」のように書き出すと、事実との境界が明確になります。
名前・写真・録音を公開するときの確認
| 確認すること | 聞くタイミング | 伝え方の例 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 名前を出すか | 依頼するとき | 名前を記事に書いてよいですか? | よい・匿名 |
| 写真を使うか | 撮る前・掲載前 | 写真を撮ってもよいですか? | 使える写真 |
| 録音するか | 録音ボタンを押す前 | 聞き漏らし防止に録音してよいですか? | 許可の有無 |
| 内容を公開するか | 完成後・提出前 | 学校外にも見せてよいですか? | 公開範囲 |
| 答えたくない話題 | 質問を作るとき | 答えにくい質問は飛ばせます | 無理に聞かない |
インタビューの内容を学校内で使うのか、家族に見せるのか、ウェブで公開するのかによって、確認する範囲は変わります。名前、顔写真、店名、録音、発言内容のどれを使うかを分けて、相手に伝えます。迷ったら公開を控え、先生や家の人に相談します。
相手が答えたくない質問を無理に聞かないことも、準備の一部です。個人的な事情や秘密に関わる内容は、テーマに必要かを考えます。聞いた内容を記事に載せる前に、事実や表記に間違いがないか相手へ確認できると、安心してまとめられます。
学年別の進め方
| 学年の目安 | 始めやすい相手 | 質問の数 | まとめの形 |
|---|---|---|---|
| 1〜2年生 | 家族・身近な人 | 二〜三問 | 聞いたことを絵と文で |
| 3〜4年生 | 地域の人・仕事の人 | 三〜五問 | 質問と答えの表 |
| 5〜6年生 | 専門家・複数の立場 | 五〜八問 | 導入・本文・考察 |
| どの学年でも | 相手の都合を優先 | 無理に増やさない | 許可とお礼を残す |
低学年は、家族など身近な相手に二〜三問聞き、絵と短い文でまとめます。中学年は、地域の人や仕事について、質問と答えを表に整理します。高学年は、下調べとインタビューを比べ、聞いて初めて分かったことを考察へつなげます。
どの学年でも、相手の都合、安全、公開範囲を優先します。聞く内容が立派かより、目的を持って質問し、相手の答えを大切に記録し、分かったことを自分の言葉で整理できるかが重要です。
提出前の最終チェック
| 提出前の確認 | 質問 | できていればよい状態 |
|---|---|---|
| 目的 | 何を知りたくて聞いた? | 一文で説明できる |
| 質問 | 答えが広がる聞き方? | 具体例を聞く質問がある |
| 記録 | 誰のどの言葉? | 事実と引用が分かる |
| 文章 | 自分の考えがある? | 聞いた内容と区別できる |
| 公開 | 名前・写真・録音の許可は? | 公開範囲が決まっている |
| お礼 | 協力への感謝を伝えた? | 相手に確認して終える |
最後は、準備シートと完成原稿を比べます。目的と関係のない質問が多すぎないか、相手の言葉と自分の考えが混ざっていないか、名前や写真の扱いを確認したかを見ます。お礼を伝え、必要なら完成したものを相手に見せて、インタビューを終えます。
インタビューの準備、質問、記録、公開時の確認について、国立国会図書館 国際子ども図書館「インタビューする」も参考にしています。学校の指示や相手との約束がある場合は、そちらを優先してください。
PRこの欄にはAmazonアソシエイトリンクを含みます。先に本文の手順と無料チェック表を使い、必要な場合だけ家庭に合う教材を選んでください。
無料準備シート:インタビュー前の6項目
- 何を知りたい?
- 相手は誰?
- 下調べで分かったことは?
- 質問を三〜六問作った?
- 日時・場所・記録方法を決めた?
- 名前・写真・録音の確認をした?
準備シートは、質問をたくさん作るための表ではありません。目的に関係する質問を選び、相手が答えやすい順番に並べるために使います。まず一文で目的を書き、下調べで分かったことは質問から外します。
聞き取り中は、用意した質問を全部使わなくても構いません。相手の答えに大事な言葉が出たら、「それは例えばどんなことですか」と一つだけ聞き返します。聞き終わったら、メモを読み返して、記事に使いたい言葉を三つ選びます。
最後に、名前、写真、録音、公開先を確認します。学校に提出するだけなのか、家族に見せるのか、インターネットに公開するのかを分け、相手が分かる言葉で伝えてください。
よくある質問
インタビューとは何ですか。
相手に質問し、話を聞いて必要な情報を集める調査方法です。会話を楽しむだけでなく、何を知りたいかを決め、聞いた内容をメモし、目的に合う形でまとめるところまでが活動になります。
小学生のインタビューは誰にすればよいですか。
家族、地域で働く人、学校の先生、習い事の先生など、調べたいテーマに詳しい人を選びます。相手の都合を確かめ、保護者や先生に依頼方法を相談してから連絡します。
質問は何個用意すればよいですか。
低学年なら二〜三問、中学年なら三〜五問、高学年なら五〜八問を目安にします。数を増やすより、目的に合う質問を順番に作り、話が広がったときの聞き返しを用意します。
「はい」「いいえ」で終わる質問はだめですか。
確認には使えますが、相手の経験や考えを知りたいときは、具体例を聞く形に変えます。「楽しいですか」なら「どんな時に楽しいですか」、「工夫していますか」なら「どこを工夫しましたか」と聞きます。
質問をする順番はありますか。
基本情報から始め、具体例、理由、これからの順にすると、相手も話しやすくなります。最初から答えにくい個人的な質問をせず、相手が答えた内容に合わせて順番を変えて構いません。
相手の答えが短いときはどうしますか。
「例えば?」「その時はどうしましたか?」「もう少し詳しく教えてください」と、答えを否定しない聞き返しを使います。答えたくなさそうな話題は無理に続けず、別の質問へ移ります。
メモは一言一句すべて書くべきですか。
すべてを書くと、相手の顔や話の流れを見られなくなることがあります。まずキーワード、数字、印象に残った言葉を書き、聞き終わった直後に記憶を補います。録音は必ず事前に許可を取ります。
インタビューの録音や写真を使ってもよいですか。
使う前に、録音・撮影の目的と利用範囲を伝えて許可を取ります。名前や顔写真を公開するかも別に確認します。学校内の提出だけか、ウェブに載せるかで確認する内容が変わるため、公開範囲を具体的に伝えます。
聞いたことを作文にするにはどうしますか。
事実、相手の言葉、自分の考えを分けます。導入で誰に何を聞いたかを書き、本文で重要な答えと具体例を整理し、最後に聞いて分かったことや自分の考えをまとめます。
質問をそのまま全部載せてもよいですか。
目的に関係する質問を選び、似た答えをまとめます。相手の言葉の意味を変えないように引用し、短くして省略した場合は、内容が変わっていないか相手に確認します。
インタビューで緊張してしまいます。
質問を紙に書き、最初のあいさつと最後のお礼を練習します。全部を暗記する必要はありません。相手の答えを聞いたら、用意した質問から一つ選ぶだけでも、会話が続きやすくなります。
家の人はどこまで手伝ってよいですか。
連絡、日時の調整、安全面、公開範囲の確認を手伝います。質問を作ったりまとめたりする部分は、子どもの考えを聞きながら進めます。完成した文章を相手に見せ、事実や名前に間違いがないか確認するのも大切です。
聞いた内容をまとめるときに役立つ記事
まとめ
小学生のインタビューは、目的を決め、下調べをして、答えが広がる質問を作るところから始まります。聞くときは相手の言葉を待ち、具体例を聞き返し、メモでは事実と感想を分けます。まとめるときは、引用・自分の考え・公開範囲を確認します。
- 知りたいことを一文にしてから質問を作る。
- 基本情報、具体例、理由の順で質問を深める。
- 「例えば?」「その時どうした?」で聞き返す。
- メモはキーワードを残し、聞き終わった直後に補う。
- 名前・写真・録音・公開範囲は相手に確認する。
- 事実、相手の言葉、自分の考えを分けてまとめる。

