国語のテストで、こんな問題を見たことはありませんか?
- 「傍線部『それ』が指す内容を本文中から抜き出しなさい」
- 「『このこと』とは何ですか。説明しなさい」
- 「『そのような考え方』とはどういう考え方ですか」
こういった指示語(こそあど言葉)の問題は、国語のテストに必ずと言っていいほど登場します。にもかかわらず、「なんとなく前の方を読んで探す」という曖昧な解き方をしている人が非常に多いです。
実は、指示語の問題には「必ずこの順番で探せば見つかる」というルールがあります。このルールを知るだけで、指示語問題の正解率がぐっと上がります。この記事では、そのルールを具体例とともにわかりやすく解説します。
そもそも「指示語」とは何か
指示語とは、前後に出てきた言葉や内容を「それ・この・あの・どの」などの短い言葉で置き換えるものです。国語の授業では「こそあど言葉」と呼ばれることもあります。
指示語には大きく4グループあります。
- こ(こそ)グループ:これ・この・こう・ここ・こちら → 話し手の近くにあるものを指す
- そ(そこ)グループ:それ・その・そう・そこ・そちら → 聞き手の近く、または直前の内容を指す
- あ(あそこ)グループ:あれ・あの・ああ・あそこ・あちら → 話し手・聞き手の両方から離れたものを指す
- ど(どこ)グループ:どれ・どの・どう・どこ・どちら → 不明・疑問のものを指す
読解問題で問われるのは、ほとんどが「そ」グループ(それ・その・そのような・そういった)です。「そ」グループは直前の文や段落の内容を指すことが多いという特徴があります。まずこれを頭に入れておきましょう。
指示語が指す内容を見つける「3ステップ法」
ステップ1 指示語の「直前」を読む
指示語が指す内容は、ほとんどの場合、指示語よりも前の部分にあります。まず指示語のある文の、すぐ前の一文を読んでください。
【例文】
「毎日少しずつ練習を積み重ねることが、上達への近道だ。しかし、多くの人はそれを続けることができない。」
「それ」の直前を確認すると、「毎日少しずつ練習を積み重ねること」とあります。これが「それ」の指す内容です。
多くの場合、直前の一文を読むだけで答えが見つかります。まず直前を確認する習慣をつけましょう。
ステップ2 直前で見つからなければ「前の段落」に遡る
直前の一文を読んでも「それ」に当てはまる内容がないときは、一つ前の段落に遡ります。特に、段落の最後の文・最初の文に指す内容が書かれていることが多いです。
段落をまたぐ指示語は、前の段落全体の「まとめ」を指していることが多いという特徴があります。そういった場合は、一文を抜き出すのではなく、段落の内容を自分の言葉で要約して答えることが求められます。
ステップ3 「置き換えテスト」で正解を確認する
「これかな?」という答えの候補が見つかったら、必ず元の文に当てはめて読み返してください。意味が通じれば正解、おかしければ別の箇所を探します。
【置き換えテストの例】
元の文:「しかし、多くの人はそれを続けることができない。」
候補:「毎日少しずつ練習を積み重ねること」
当てはめ:「しかし、多くの人は毎日少しずつ練習を積み重ねることを続けることができない。」
→ 意味が通じる → 正解!
この「置き換えテスト」をするだけで、「なんとなく合ってそう」という答えの確認漏れが防げます。答えを書いたら必ず一度当てはめて読み返す癖をつけましょう。
指示語問題で点を落とす「3つの典型的なミス」
ミス① 指示語を含む文ごと抜き出してしまう
「それとは何ですか」と聞かれているのに、「それ」が書いてある文そのものを抜き出してしまうミスです。指示語の問題は、指示語を含む文ではなく、指示語が「指している内容」を答える必要があります。
問題文をよく読んで、「何を答えるべきか」を確認してから本文を探す習慣をつけましょう。
ミス② 指示語の後ろを探してしまう
指示語が指す内容は、原則として指示語より前にあります。後ろにある場合はほとんどありません。後ろを探し始めたら「あれ、違うかも」と気づいて前に戻る習慣をつけてください。
ミス③ 抜き出す範囲が広すぎる・狭すぎる
記述問題では、抜き出す範囲が問われます。多く抜き出しすぎても、少なすぎても減点になります。
目安として覚えておきたいのは次のルールです。
- 指示語が名詞・体言(もの・こと)を指しているなら → その名詞のまとまりを抜き出す
- 指示語が動作・状態(〜すること・〜な様子)を指しているなら → 述語を含む一文のまとまりを抜き出す
- 指示語が段落全体の内容・考え方を指しているなら → 要約して自分の言葉で書く(抜き出しではなく説明問題)
問題文に「抜き出しなさい」とあるか「説明しなさい」とあるかを必ず確認することも、ミスを防ぐ大事なポイントです。
「この・その・あの」は何が違うのか――文章読解での使い分け
会話文が含まれる物語文では、「この」「その」「あの」の使い分けが心情読み取りのヒントになることがあります。
- 「この〇〇」 → 今まさに話題にしているもの、話し手が近くに感じているもの
- 「その〇〇」 → 相手がすでに知っている・共有している情報を指す
- 「あの〇〇」 → 話し手・聞き手の両方が知っている、少し遠い過去の記憶・出来事
たとえば登場人物が「あの日のことは、もう考えたくない」と言った場合、「あの」が使われていることで、過去の特定の出来事を指しており、思い出したくない記憶であることが伝わります。
このように、指示語のグループ(こ・そ・あ)を意識するだけで、文章のニュアンスをより深く読み取ることができます。
実践問題:3ステップ法で解いてみよう
次の文章を読んで、傍線部「そのような習慣」が指す内容を答えてください。
「人間の脳は、新しい情報を受け取ると、まず短期記憶として一時的に保存する。その情報を長期記憶へと移行させるためには、繰り返し思い出すという作業が必要だ。一夜漬けで大量に覚えようとするのではなく、毎日少量ずつ時間をおいて復習することが有効とされている。そのような習慣を身につけた学習者は、試験直前の詰め込みに頼らなくても、安定した成績を維持できることが多い。」
3ステップ法で整理してみましょう。
- ステップ1(直前を読む):「毎日少量ずつ時間をおいて復習すること」が直前にある
- ステップ2(遡る必要があるか):直前で見つかったので不要
- ステップ3(置き換えテスト):「毎日少量ずつ時間をおいて復習するような習慣を身につけた学習者は〜」 → 意味が通じる → 正解
答えの例:「毎日少量ずつ時間をおいて復習すること(という習慣)」
「そのような〜」という形の指示語は、直前の内容をそのまま名詞化して指していることが多いです。「そのような」+名詞(習慣・考え方・状況など)がセットで出てきたら、直前の文に答えがある確率が高いと覚えておきましょう。
まとめ――指示語問題は「3ステップ+置き換えテスト」で完全攻略
指示語の問題は「なんとなく探す」から「ルール通りに探す」に変えるだけで、正解率が大きく変わります。
- ステップ1:指示語の直前の一文からまず探す
- ステップ2:見つからなければ前の段落に遡る
- ステップ3:候補が見つかったら元の文に当てはめて意味が通じるか確認する
そして、答えを書いたら必ず「置き換えテスト」で確認する。これだけで、指示語問題での取りこぼしはほぼなくなります。
指示語は物語文にも論説文にも登場します。どんな文章を読むときも、「この指示語は何を指しているんだろう?」と一言立ち止まる習慣が、国語全体の読解力を底上げします。
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