都立中高一貫校の適性検査では、グラフや表、資料を読み取る問題が毎年のように出題されています。しかも、ただ数字を見て答えるだけではなく、「どのように変化したのか」「なぜその変化が起きたのか」まで筋道立てて説明する力が求められます。
これは、単なる知識量を問う問題ではありません。資料をもとに考え、根拠を示しながら自分の考えをまとめる力を見ています。つまり、普段から「数字の変化の背景」を考える習慣がある受検生ほど有利になります。
実際、適性検査では環境問題、人口の変化、エネルギー利用、食料自給率、ごみ処理など、社会と理科が組み合わさったテーマがよく扱われます。その中でも特に頻出なのが、「グラフの変化を読み取り、その理由を説明する問題」です。
今回は、都立中受検の標準レベルに合わせたミニ演習を通して、このテーマの解き方を一緒に整理していきましょう。
例題:学校図書館の利用者数の変化を読み取ろう
ある市立小学校では、「読書活動を活発にする取り組み」を行いました。その結果、学校図書館の年間利用者数は次のように変化しました。
学校図書館の年間利用者数(人)
- 2019年 ■■■■■■■■■■ 800人
- 2020年 ■■■■■■■■■ 720人
- 2021年 ■■■■■■■■■■■■ 1100人
- 2022年 ■■■■■■■■■■■■■■ 1400人
- 2023年 ■■■■■■■■■■■■■ 1280人
この学校では次のような取り組みが行われました。
- 2020年:図書室の利用時間が短縮された
- 2021年:朝読書の時間を全学年で導入
- 2022年:新刊図書を500冊追加
- 2023年:図書室改修工事のため2か月間閉室
問い
問1
利用者数が最も大きく増えたのはどの期間ですか。また、何人増えましたか。
問2
2021年に利用者数が増えた理由を、資料をもとに説明しなさい。
問3
2023年に利用者数が減少した理由として考えられることを書きなさい。
問4
この学校が今後さらに利用者数を増やすためにできる工夫を、資料を参考にして書きなさい。
まずはグラフの「変化」に注目しよう
資料問題で最初にするべきことは、グラフ全体をぼんやり眺めることではありません。
「どこで増えたか」「どこで減ったか」「変化が大きいのはどこか」を数字で確認することです。
実際に差を計算してみましょう。
- 2019→2020:720-800=-80人
- 2020→2021:1100-720=+380人
- 2021→2022:1400-1100=+300人
- 2022→2023:1280-1400=-120人
このように整理すると、最も大きな増加は2020年から2021年の380人増だとすぐにわかります。
適性検査では、こうした計算を頭の中だけで処理しようとするとミスしやすくなります。メモ欄に整理して書くことが得点アップにつながります。
記述問題で高得点を取る「理由説明の型」
都立中の適性検査では、理由を説明する記述問題がよく出ます。このとき、感覚で書くのではなく、型を使うと安定します。
おすすめの記述の型
「〇〇という変化が見られる。これは、△△したことで□□になったためだと考えられる。」
たとえば今回なら、
「利用者数が増加している。これは、朝読書を導入したことで本にふれる機会が増え、図書館を利用する児童が増えたためだと考えられる。」
このように書けます。
ポイントは、
- 資料の事実を書く
- そこから起きた変化を書く
- 理由をつなげる
この3段階です。
ありがちな失点パターン
① 資料にないことを書く
例えば「読書が好きな子が増えたから」だけでは、資料から読み取れません。
適性検査では、資料を根拠にしているかが重視されます。
② 変化だけで終わる
「利用者数が増えた。」だけでは不十分です。
必ず「なぜ増えたのか」まで説明しましょう。
③ 理由があいまい
「工夫したから」では抽象的すぎます。
「朝読書の導入により読書習慣がついた」のように具体化することが大切です。
解答・解説
問1 解答
2020年から2021年までで、380人増加した。
解説
各年の差を計算して比べます。最も大きい増加幅を見つけることがポイントです。
問2 模範解答
全学年で朝読書が導入され、本にふれる機会が増えたことで、図書館を利用する児童が増えたためだと考えられる。
部分点のコツ
- 朝読書導入
- 本に接する機会が増えた
- 利用者増加につながった
このうち2つ以上書けると評価されやすいです。
問3 模範解答
図書室改修工事によって2か月間閉室し、利用できる期間が短くなったため、利用者数が減少したと考えられる。
問4 模範解答
人気のある新刊を定期的に増やしたり、読書イベントを開いたりすることで、さらに図書館を利用する児童を増やせると考える。
資料の読み取り力を伸ばす家庭学習のコツ
この力は、一度解いただけでは身につきません。
日常の中でグラフを見る習慣をつけることが大切です。
- ニュースの統計グラフを見る
- 天気予報の降水確率の変化を考える
- スーパーの売れ筋ランキングを比較する
- 家族で「なぜ増えた?なぜ減った?」を話す
こうした積み重ねが、適性検査本番での読解力につながります。
まとめ:資料問題は「数字+理由」で考える
資料の読み取り問題では、数字を読むだけでは足りません。
大切なのは、
- 数字の変化を正確に計算する
- 資料中の出来事と結びつける
- 理由を筋道立てて説明する
この3つです。
都立中高一貫校の適性検査では、「考える力」を見る問題が増えています。今回のように、資料を見て「どう変化したか」「なぜそうなったか」をセットで考える練習を続けていきましょう。
グラフ問題に出会ったら、ぜひ声に出してみてください。
「この変化には、どんな理由があるだろう?」
この問いかけが、得点力を大きく伸ばしてくれます。


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