古文は、文法を全部覚えていなくても、基本単語の意味がわかるだけで読みやすくなることがあります。逆に、現代語と同じ形なのに意味が違う語をそのまま読んでしまうと、短い文章でも内容を取り違えやすくなります。
学習相談や答案の見直しでよく見るのは、難しい単語よりも「おどろく」「かなし」「ありがたし」のような、現代語と意味がずれる語で点を落とすパターンです。この記事では、中学生が古文を読む前に確認しておきたい40語を、意味・注意点・確認問題つきで整理します。
30秒でわかる古文単語40選
- まずは「現代語と意味が違う語」を優先して覚える。
- 「をかし」「あはれなり」などの心情語は、明るい感じか、しみじみした感じかまで分ける。
- 「つゆ+打消」「さらに+打消」「え+打消」は、セットで意味を取る。
- 練習問題では、単語だけでなく前後の文脈も見て意味を選ぶ。
古文単語40選の覚え方
古文単語は、英単語のように何百語も一気に覚えようとすると続きにくいです。中学生の段階では、まず「現代語と意味が違う語」「気持ちを表す語」「セットで読む語」に分けて覚えると、読解で使いやすくなります。
おすすめの覚え方
- まず表の「まず覚える意味」だけを確認する。
- 現代語と違う意味の語に印をつける。
- 翌日に、意味を隠してもう一度読む。
- 練習問題で、文の中に入ったときの意味を確認する。
現代語と意味がずれる古文単語
最初に覚えたいのは、現代語の感覚で読んでしまうと間違えやすい語です。特に「うつくし」「おどろく」「かなし」「ありがたし」は、テストでもよく確認されます。
| 古文単語 | まず覚える意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| うつくし | かわいらしい、いとしい | 現代語の「美しい」だけで読むとずれやすい。 |
| おどろく | 目を覚ます、はっと気づく | 現代語の「びっくりする」だけではない。 |
| ふみ | 手紙、書物、学問 | 文脈によって「手紙」か「書物」かを選ぶ。 |
| けしき | 様子、ありさま | 古文では「景色」より「様子」の意味がよく出る。 |
| いとほし | 気の毒だ、かわいそうだ | 現代語の「いとおしい」と近い場面もあるが、まずは「気の毒だ」。 |
| あした | 朝、翌朝 | 現代語の「明日」と同じに読まない。 |
| かなし | かわいい、いとしい | 「悲しい」の意味もあるが、中学古文では「かわいい」をまず押さえる。 |
| ののしる | 大声で騒ぐ、評判になる | 現代語の「悪口を言う」だけではない。 |
| ありがたし | めったにない、珍しい | 「ありがたい」より「有り難い」と考えると覚えやすい。 |
| はづかし | こちらが気後れするほど立派だ | 単に「恥ずかしい」ではなく、相手を高く評価する場面がある。 |
心情や評価を表す古文単語
古文では、人物の気持ちや、物事への評価を表す語がよく問われます。「をかし」と「あはれなり」はどちらも趣を表しますが、明るくおもしろい感じか、しみじみした感じかを分けておくと読みやすくなります。
| 古文単語 | まず覚える意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| つきづきし | 似つかわしい、ふさわしい | 場面に合っている、という評価。 |
| らうたし | かわいらしい、いじらしい | 弱いもの・幼いものへの愛情を表すことが多い。 |
| をかし | 趣深い、おもしろい | 明るい肯定的な評価として出やすい。 |
| あはれなり | しみじみと趣深い、感慨深い | 悲しさだけでなく、深く心が動く感じ。 |
| つれづれなり | することがなく退屈だ | 「一人で時間を持て余す」感じで読む。 |
| あさまし | 驚きあきれるほどだ、情けない | よい驚きより、あきれた気持ちで出ることが多い。 |
| こころにくし | 奥ゆかしい、心ひかれる | 「憎い」ではなく、よい評価として押さえる。 |
| うたてし | いやだ、情けない、気の毒だ | 文脈で「不快だ」「嘆かわしい」に近くなることがある。 |
| さうざうし | 物足りない、心さびしい | 何かが欠けて落ち着かない感じ。 |
| ゆかし | 見たい、聞きたい、知りたい | 心がひかれて、もっと知りたくなる気持ち。 |
| うしろやすし | 安心だ | 「後ろが安全」と考えると覚えやすい。 |
| うしろめたし | 不安だ、気がかりだ | 「うしろやすし」と反対で覚える。 |
| ねんごろなり | 心がこもっている、親切だ | ていねいで、相手を大切にする感じ。 |
| すさまじ | 興ざめだ、殺風景だ | 現代語の「すごい勢い」ではなく、場に合わず冷める感じ。 |
| あいなし | つまらない、筋が通らない | 文脈によって「わけもなく」と読むこともある。 |
副詞・連語として覚えたい古文単語
副詞や連語は、前後の語とセットで意味が決まるものがあります。特に「つゆ」「さらに」「え」は、打消の語と結びついたときの意味を確認しましょう。
| 古文単語 | まず覚える意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| いと | とても、たいそう | 打消と結ぶと「それほど〜ない」になることがある。 |
| つゆ | 少しも、わずかに | 「つゆ+打消」で「まったく〜ない」。 |
| つとめて | 早朝 | 『枕草子』の「冬はつとめて」でよく出る。 |
| やがて | そのまま、すぐに | 文脈で「すぐ」か「そのまま」かを選ぶ。 |
| としごろ | 長年、数年来 | 現代語の「年ごろ」と同じにしない。 |
| いたづらなり | むだだ、役に立たない | 「いたづらになる」は文脈により「死ぬ」と訳すことがある。 |
| やうやう | だんだん | 「ようよう」と読む。 |
| べからず | 〜してはいけない、〜できない | 禁止か不可能かは文脈で判断する。 |
| さらに+打消 | まったく〜ない | 「さらに」だけで意味を決めず、打消まで見る。 |
| さらなり | 言うまでもない | 「さらに」と形が似ているので区別する。 |
| え+打消 | 〜できない | 「え」は可能を表し、打消とセットで不可能になる。 |
| えもいはず | 何とも言いようがない | よい意味にも、悪い意味にも文脈で使われる。 |
| なかなか | かえって、むしろ | 現代語の「かなり」と同じに読まない。 |
| さすがに | そうはいってもやはり | 前の内容を受けて、逆らいきれない気持ちを表す。 |
| かしづく | 大切に育てる、大切に世話をする | 身分の高い人や大事な子を世話する場面で出やすい。 |
まちがえやすい語の整理
注意したいポイント
- 「あした」は、現代語の「明日」ではなく「朝・翌朝」。
- 「おどろく」は、驚くよりも「目を覚ます」が出やすい。
- 「かなし」は、古文では「かわいい・いとしい」の意味で読む場面が多い。
- 「さらに」「つゆ」「え」は、後ろの打消まで見てから訳す。
| 古文単語 | 現代語の感覚で読みやすい意味 | 古文でまず確認する意味 |
|---|---|---|
| うつくし | 美しい | かわいらしい |
| おどろく | びっくりする | 目を覚ます、はっと気づく |
| あした | 明日 | 朝、翌朝 |
| ありがたし | 感謝したい | めったにない、珍しい |
| すさまじ | 勢いがすごい | 興ざめだ、殺風景だ |
NG例
「かなし」をいつも「悲しい」、「おどろく」をいつも「びっくりする」と訳すのは危険です。古文では、現代語と同じ形でも意味が変わっている語があります。
迷ったときは、前後の人物の動きや場面を見て、表の「まず覚える意味」が合うかを確認しましょう。
確認問題
青い「+ 答えを見る」をクリックすると答えが開きます。最初は表を見ながら解いてもかまいません。2回目からは、意味を隠して確認してみてください。
| 問題 | 答え |
|---|---|
| 1. 「おどろく」の古文での意味は? | + 答えを見る目を覚ます、はっと気づく。 |
| 2. 「あした」は、現代語で何と訳す? | + 答えを見る朝、または翌朝。現代語の「明日」と同じに読まない。 |
| 3. 「つゆ知らず」は、どんな意味? | + 答えを見る少しも知らない、まったく知らない。 |
| 4. 「をかし」と「あはれなり」の違いは? | + 答えを見る「をかし」は明るく趣深い・おもしろい感じ。「あはれなり」はしみじみと心が動く感じ。 |
| 5. 「え+打消」は、どう訳す? | + 答えを見る「〜できない」と訳す。 |
| 6. 「うしろやすし」と「うしろめたし」はどう違う? | + 答えを見る「うしろやすし」は安心だ。「うしろめたし」は不安だ、気がかりだ。 |
| 7. 「かしづく」は、どんな意味? | + 答えを見る大切に育てる、大切に世話をする。 |
| 8. 「さらなり」と「さらに+打消」の違いは? | + 答えを見る「さらなり」は言うまでもない。「さらに+打消」はまったく〜ない。 |
古文単語を読解に使うコツ
単語を覚えたあとに大切なのは、文の中で意味を選ぶことです。たとえば「やがて」は「すぐに」とも「そのまま」とも訳せます。どちらにするかは、前後の動きや場面で判断します。
読解で迷ったときの手順
- まず、その単語の基本の意味を思い出す。
- 人物の動き、時間、気持ちを確認する。
- 文脈に合わなければ、表の注意点を見て別の意味を選ぶ。
この手順は、短い古文でも使えます。特に『枕草子』の「冬はつとめて」のような文章では、「つとめて」「つきづきし」「わろし」などの語が、情景の読み取りに直接関わります。
Q&A
+ 古文単語は何語くらい覚えればよいですか?
中学生なら、まずはこの記事の40語を目安にすると取り組みやすいです。定期テストの範囲に出た語を追加しながら、少しずつ増やしましょう。
+ 意味がいくつもある古文単語は、全部覚える必要がありますか?
最初から全部を同じ重さで覚える必要はありません。まず「テストでよく問われる意味」を覚え、本文を読んだときに文脈に合う意味を選ぶ練習をします。
+ 「をかし」と「あはれなり」はどう覚えればよいですか?
「をかし」は明るく、おもしろい・趣深い感じ。「あはれなり」はしみじみ心が動く感じ、と分けると覚えやすいです。
+ 古文単語は書いて覚えた方がよいですか?
書くことも役に立ちますが、読解で使うには「見て意味がすぐ出る」状態が大切です。表を見て声に出し、翌日に意味を隠して確認する方法がおすすめです。
+ 古文単語を覚えても文章が読めないときはどうすればよいですか?
単語だけでなく、主語・助動詞・敬語も関係します。まずは単語で大まかな場面をつかみ、次に文法事項を確認すると読みやすくなります。
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まとめ
古文単語は、量よりも「現代語と違う意味に気づけるか」が大切です。まずは40語を表で確認し、まちがえやすい語から優先して覚えましょう。
本文を読むときは、単語の意味を一つに決めつけず、前後の文脈に合うかを見ます。その練習を重ねると、古文の短い文章でも内容をつかみやすくなります。



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