「お米とわたし」作文で小学生が書くべきこと:結論から伝える3つの柱
最初に答えを伝えます。「お米とわたし」の作文で評価されるのは、**お米に関する知識の量ではなく、自分とお米の間にある「個人的なエピソード」**を軸に書けているかどうかです。
評価される作文の3つの柱
| 柱 | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| ① 自分とお米の具体的な場面 | いつ・どこで・どんな形でお米と関わったか | 全体の35% |
| ② その場面で気づいたこと・感じたこと | 五感や感情を使った描写 | 全体の40% |
| ③ お米への新しい見方・これからの関わり方 | 考えが変わった理由と今後の行動 | 全体の25% |
農林水産省が公表している食育白書(令和5年版)によると、小学生の米飯喫食頻度は週平均9.2回と、依然として食生活の中心に位置しています。それだけ身近な食材であるにもかかわらず、「お米について書いて」と言われた子どもの多くが「何を書けばいいかわからない」と感じます。その理由はシンプルで、身近すぎて「特別な話」がないように見えるからです。
でも実は、そこが一番の強みになります。
「お米とわたし」作文のテーマ選び:身近すぎて見えていないエピソードを掘り起こす
「特別な体験がない」は思い込み——日常の中にある4つの切り口
テーマが思いつかない子に共通するのは、「田植え体験をしたことがない」「農家に行ったことがない」という思い込みです。でも、作文コンテストで選ばれるのは、むしろ日常のひとこまを丁寧に描いた作品です。
以下の4つの切り口から、自分に当てはまるものを1つ探してください。
切り口①:食べる場面
- 炊きたてのご飯のにおいで目が覚めた朝
- 体調が悪いときに食べたおかゆが体に染みた
- 残してしまったご飯を見て、なんとなく罪悪感を感じた
切り口②:作る・関わる場面
- 学校の理科や総合学習でお米を育てた
- 祖父母の田んぼを見たとき、広さに驚いた
- 家でご飯を炊いたとき、研ぐ水が白くなるのを不思議に思った
切り口③:知って驚いた場面
- お米1粒を育てるのに約3,000粒の水滴が必要だと知ったとき
- 「一粒残さず食べなさい」と言われた意味がわかったとき
- 日本人が1年間に食べるお米の量が、1人あたり約50kgだと聞いて実感がわかなかったとき
切り口④:人とお米にまつわる記憶
- おにぎりを握ってもらった手の温かさ
- 運動会のお弁当のご飯が特別においしかった理由
- 祖父が「米農家は天気に生かされている」と言った一言
コンテストの応募要項を確認する前に知っておくこと
「お米とわたし」という題名の作文コンテストは、全国農業協同組合中央会(JA全中)が主催する「みんなのよい食プロジェクト」作文コンクールなど、複数の農業・食育関連団体が毎年実施しています。
審査基準に共通して書かれているのは「自分の体験や考えが表現されているか」という点です。農業知識の正確さは副次的な評価項目にすぎません。
「お米とわたし」作文の書き方:小学生でも迷わない構成と文章術
書き出しで勝負が決まる——最初の2行の作り方
「お米は日本の主食です」から始まる作文は、毎年何千枚も届きます。審査員が「続きを読みたい」と感じるのは、最初の一文に映像が浮かぶ作文です。
×よくある書き出し
お米は昔から日本で食べられてきた大切な食べ物です。
○読まれる書き出し
「一粒でもこぼしたらあかん」——祖父がそう言いながら、茶碗についたご飯粒を丁寧に指でぬぐった。
後者には場所・人物・動作が全部入っています。読んだ瞬間、映像が頭に浮かぶ書き出しは、それだけで他の作文と差がつきます。
中盤の書き方:「五感」と「なぜ?」を交互に使う
中盤でよくある失敗は、「〇〇をしました。楽しかったです。」の繰り返しで終わることです。これを防ぐために、2つのツールを使います。
ツール①:五感の描写
| 感覚 | 例文 |
|---|---|
| 視覚 | 「炊き上がったご飯が、湯気でふわっと白く霞んでいた」 |
| 嗅覚 | 「甘いような、土のような、あの独特のにおいが好きだ」 |
| 触覚 | 「研いだ後のお米は、なぜか指の間でつるつる滑った」 |
| 聴覚 | 「炊飯器が止まる少し前の、ぽこぽこという音が好きだ」 |
| 味覚 | 「塩だけのおにぎりが、なぜあんなにおいしいのかわからない」 |
ツール②:「なぜ?」の自問自答
場面を書いたら、必ず「なぜそれが印象に残っているのか」を1〜2文で掘り下げます。この一手間が、作文を「報告」から「考察」に変えます。
終わり方:「感謝します」で終わらない締め方
「お米を作ってくれた農家の方に感謝したいと思います」——これも毎年多く寄せられる締め方です。間違いではありませんが、読み手の心に残りにくい。
効果的な締め方の型
あの朝から、私はご飯を残さなくなった。理由は「もったいないから」じゃない。一粒ずつに、誰かの時間と手が入っていることを、今はちゃんと知っているから。
「何かを学んだ」ではなく「何かが変わった」という結びは、読んだ人の記憶に残ります。
学年別「お米とわたし」作文の文字数・難易度・書き方のポイント
低学年(1〜2年生):200字〜400字、感じたことを素直に
難しいことは書かなくていいです。「ご飯のにおいが好き」「おにぎりが好きな理由」で十分です。
低学年の作文で大切なのは、ひらがなでも、短い文でも、自分の言葉で書けているかです。「おいしかった」の一言でも、その前後に「なぜ」「どんなとき」「誰と食べたか」があれば、立派な作文になります。
中学年(3〜4年生):400字〜600字、体験と気づきをセットで
この学年から「総合学習でお米を育てた」という体験を持つ子が増えます。その場合、育てる前の自分と後の自分を比べる構成が最も書きやすく、評価も高い傾向があります。
実際に指導した経験でいうと、3年生のCさんは最初「田植えをして収穫しました。大変でした。おいしかったです。」という3文で終わらせてきました。そこで「大変だったとき、どんな気持ちだった?」「収穫したとき、体のどこで感じた?」と質問していくと、「腰が痛くて泣きそうだったけど、稲が倒れてきたとき仲間と一緒に支えた」という場面が出てきました。それを書いてもらったら、読んでいて心が動く作文になりました。体験は持っているのに、言語化できていないだけ——そういう子は多いです。
高学年(5〜6年生):600字〜800字、「社会とお米」の視点を少し加える
高学年は、自分の体験に加えて「食料自給率」や「農業の担い手不足」といった社会的な文脈を少し加えると、作文に奥行きが出ます。
農林水産省の令和5年度食料需給表によると、日本のカロリーベース食料自給率は38%で、主要先進国の中で最低水準にあります。一方で、お米の自給率は約100%を維持しています。この対比を「自分とお米」の話に結びつけると、説得力のある構成になります。
ただし、注意点があります。社会問題の説明に文字数を使いすぎると、「自分の話」が薄くなります。知識は全体の20%以内、残り80%は自分の体験と感情に割く、というバランスを守ってください。
「お米とわたし」作文でよく使えるテーマ別の文章例と深め方
テーマ別:書きやすい入り口と一歩踏み込む質問
テーマA:田植え・稲刈り体験
書きやすい入り口——「泥の中に足を入れたときの感触」「稲が重くなっていたこと」 一歩踏み込む質問——「そのとき、誰かの顔が浮かんだか?」「次の年、また田んぼに行きたいと思ったか?なぜ?」
テーマB:おにぎり・お弁当の記憶
書きやすい入り口——「誰に作ってもらったか」「どんな状況で食べたか」 一歩踏み込む質問——「そのおにぎりを食べたとき、なぜ泣きそうになったのか(または笑顔になったのか)」
テーマC:食べ残しへの罪悪感
書きやすい入り口——「残してしまった理由」「その後どう感じたか」 一歩踏み込む質問——「次は残さなかったか?その理由は何だったか?」
原稿用紙に書く前にやる「3分メモ術」
白紙に書く5つの質問に答えるだけ
原稿用紙に最初から書こうとすると、手が止まります。まず別の紙に、下の5つの質問に一言ずつ答えてください。所要時間は3分以内。
① お米に関して、一番記憶に残っている場面は?(いつ・どこで・誰と)
② そのとき、体や気持ちはどうだった?(五感や感情で)
③ なぜその場面が今も頭に残っているのか?
④ その体験の前と後で、何か変わったことはあるか?
⑤ これから自分はお米とどう関わりたいか?(具体的に1つ)
この5つが埋まれば、作文の設計図は完成です。①が書き出し、②③が中盤、④⑤が締めになります。構成に迷う時間がゼロになります。
書いている途中で手が止まったときの対処法
「次に何を書けばいいかわからなくなった」——そのときは、直前に書いた文の動詞か形容詞に「なぜ?」をつけてみてください。
「においが好きだった。」→ なぜ好きだったのか? 「大変だった。」→ なぜ大変だったのか?どう大変だったのか?
「なぜ?」は、手が止まったときの最強の道具です。




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